#022 ルルネ様、対人戦について学ぶ
「お疲れ様ですー」
「お疲れ様でした!」
「ルルネ、また遊ぼうにゃあー!」
「パーティーありがとうございました!」
リムロ大橋の戦いが終わり、次々とプレイヤーが離脱していく。
私の入っていたパーティーメンバー達も、挨拶をしては各々の目的地に向けて立ち去っていった。
まあ殆どのプレイヤーがさっきの戦いで解放された新しいエリアへと、我先に走っていくんだけど。
「うん、流石はガロウを倒したルルネ君だ。見事な勇姿だった」
「む、……まあ、その、なんじゃ、お主も中々の手腕じゃったな」
最後まで残っていたオメガくんから声がかけられた。
タンクのオメガくんと、アタッカーの私では役割こそ異なるとはいえ、同じ近接同士。
その立ち回りからは学べることがたくさんあったのは確か。
私を拉致したことはまだ怒ってるけど、オメガくんの実力は一級品なのは認めざるを得ない。
ほんと悔しいけど!
「君のことは動画で見た程度のことしか知らなかったけど、実際に見てみると以前より格段に強くなっている、流石だな」
「クククッ、そうじゃろうそうじゃろう!真祖とは無限に強くなる存在じゃからな!」
「ところでだ、ルルネ君。1つ君にお願いがあるのだけど、聞いてもらえないだろうか?」
「む、何じゃ?ガロウについての情報ならやらぬぞ」
「ハハハ、そうじゃない。もちろんネームドモンスターについての情報は気になるけど、今回はそこじゃない」
「むぅ、何じゃ。勿体ぶらずに言うのじゃ」
「あぁ、そんなに難しい話じゃない。それじゃ、お言葉に甘えさせて貰うとしよう」
オメガ君はそういうと、腰に下げた剣を抜き、私に向けて構えた――――へ?
抜刀と共に刀身には光の粒子のエフェクトがまとわりついて、輝きを放つ。
【オメガから決闘の申請がありました。受理しますか? Yes / No 】
「ルルネ=フォン=ローゼンマリアⅣ世!その力、俺の剣を以て確かめさせてもらおうッ!あの『真祖』を名乗るくらいだ、まさか逃げることなんてしないだろう!?」
オメガ君の口許に獣じみた獰猛な笑みが浮かび、手にした剣の放つ光のエフェクトがそれに合わせるかのように強まっていく。
「…………のう、1つ聞きたいのじゃが、決闘ってなんじゃ?」
――――
「全く……危うく興が削がれるところだったよ……」
「し、しょうがないじゃろう!我初心者なのじゃし!」
「……仕方ない。決闘の前に一度説明するから、よく聞いておくんだよ」
「んむ!」
「決闘システムとはENOにおけるPvP、つまり対人戦のことだな。ルールは簡単で、先に相手のHPを1にした方が勝ちだ」
「む?0ではなく1なのじゃ?」
「ああ、決闘ではHPが1より下になることはないんだ。HPが1になった時点で自動的に決闘は終了し、決闘モードに入る前のHPに戻る。つまり死亡によるリスポーンやデメリットは存在しない。完全に腕試し用の機能といったところだろうか」
「なるほどのぅ」
「また決闘に入ることで、自動的に対戦相手以外の干渉を受けることが無くなる。決闘が妨害される心配も無い」
「それは便利そうじゃのう」
強敵との戦闘中に負けそうになったら、決闘モードに入るとか色々悪さできそう!
まさに悪魔的発想!
ふふふ、やっぱり真祖はインテリジェンスもつよつよなんだよねぇ。
「まあそうだな。このシステムを悪用されないために、戦闘中や一部エリアでの決闘はできないとか、いくつか制限はあるのだけど、今は心配しなくても大丈夫だ」
ぐぬぅ……。
世知辛い。
「決闘の細かいルールや人数も設定できるんだけど、今回は1対1の1本先取で勝利にさせて貰おう」
「ま、待つがよい!我はまだ受けるとか言っておらぬのじゃが!」
「おや、真祖様が臆するなんて意外だな」
「は、はぁ!?お、臆してなんかおらぬのじゃ!我にとって戦とか呼吸するくらい余裕のやつじゃし!」
「じゃあ決まりだ」
な、なかなか弁が立つやつじゃな、こやつ……!
やりおる……!
まあただ負けることのデメリットが無いのであれば、決闘を受けること自体に抵抗はないよね。
せっかくゲームで遊んでるんだし、経験の無いコンテンツは積極的にやってみたい。
「む、じゃが流石にお主と我ではレベル差がありすぎるのではないかのう。お主のレベルはいくつじゃ?」
「今のレベルは……44だな」
「ぴいっ!?」
み、澪音よりも1つレベル高いんだけど……。
オメガ君も最前線プレイヤーとかいう化け物かぁ……。
「あぁ、レベルに関してはそれほど気にしなくても大丈夫。決闘を行う際にはステータスが平等になるような設定があるんだ。レベルの低い側のプレイヤーに合わせたレベルに高い側のプレイヤーのレベルが自動調整されるという機能があってね。今回はその機能を使わせてもらおう」
「そ、そそ、そのままでも余裕じゃが、お、お主がそうしたいというのであればそうするが良いぞ!」
「まあステータスやスキルレベルは現在の育成傾向から自動調整されるけど、使えるスキルの数や装備品の性能までは自動調整されないから、このままだと俺の方が有利になってしまう。そこでだな、ハンデとして俺の使う防具は――」
「は、ハンデなどいらんのじゃ!」
「おや、随分と自信があるみたいだな」
「クククッ、人間の若造にこそハンデをくれてやってもよいのじゃよ!」
「ふふ、中々言うじゃないか」
ただでさえレベル調整なんてハンデを貰ってるのに、機能外でもハンデを貰うのは屈辱的!
……というのもあるにはあるんだけど、何も考えがない訳じゃない。
防御とHPに特化しているであろうオメガくんだけど、私だって攻撃にはかなりの数値を割り振っている。
リムロのでの戦いを通してオメガくんの打たれ強さは充分に目の当たりにしてきたけど、心核装備も持っている私であれば、レベルの弱体化したオメガくんであればそれなりのダメージは通るだろう。
また、オメガ君自慢の光る剣も見るからにレア装備だけど、私にはあんまり関係ない。
どんなレア装備であれ、高レベルプレイヤーの持つ装備なら例外無く一撃で消し飛んじゃうだろうし、私。
「――うん、説明としてはこんなところだろうか。理解できたかな?」
「もちろんじゃ!色々言っておったが、つまり我のやることは普段の戦闘と変わらないのじゃ!」
「そういうこと。さあ、再度申請するから、受理してくれると助かる」
【オメガから決闘の申請がありました。受理しますか? Yes / No 】
「――無論、【Yes】じゃ!……クククッ、定命の者よ。お主に真の夜を見せてやるのじゃッ!」
【決闘の申請を受諾しました。15秒のカウントダウンの後、決闘が開始されます】
作者引っ越し作業などが立て込んでおり、次話投稿が遅れています…。
筆を折ったわけでも、熱意が無くなったわけでもないので、申し訳ありませんがもう少しお待ちください。




