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#020 ルルネ様と新たなる装備

ヨナちゃんに心核武器の製作依頼をしてから二日後。


ヨナちゃんから「斧が完成しましたので、お受け取り下さい」とダイレクトメッセージを受けとった私は、始まりの街の中央区で待ち合わせしていた。


「お、お待たせしました。ルルネ様の、斧ができました!」


しばらく待っていると、ヨナちゃんから声がかけられた。

前に見た時よりも煤や炭の汚れが目立っているのは、つい先程まで鍛冶をしていたからかもしれない。


「うむ!さっそく見せてくるかのぅ!」

「は、はいっ」




【ヨナからトレード申請が来ています。受理しますか? Yes/No】


【ヨナから『破邪ノ月爪斧《壱式》』がトレードされました】




――――――――――


【破邪ノ月爪斧《壱式》】


種類:両手斧


STR+88

MND+29

AGI+43


武器スキル:『破邪の咆哮』

詠唱中の魔法をキャンセルする。

接触した魔法効果をキャンセルする。

(クールタイム80秒)


※心核武器は鍛冶スキルで追加素材を付与することで成長させることができます。


――――――――――




「ぬっ!?初心者用両手斧とは比較になら無いほどの性能じゃのう。」

「は、はい。今まで数々の斧を作ってきましたが、これは最高の出来の一つです!」


【初心者用両手斧】はSTR+20。

それに比べて、こっちはSTRだけで見ても4倍以上の性能をしていた。

そわそわする気持ちを抑えながら、私はインベントリから 【破邪ノ月爪斧《壱式》】を出現させる。


私の手に収まったのは、私の身長よりも頭二つ分以上は大きな黒い両刃斧だ。

初心者用両手斧は私の身長よりも僅かに小さかったから、以前と比べるとかなり大きく感じる。

それだけ長くなったものの、軽く振ってみても、前と比べて殆ど重量の差異が分からない。

刃の横面には私の若草装備をイメージしたのか、赤いバラの刻印が施されており、柄には薔薇の棘の意匠が巻き付いていた。

刃部分はよく見ると一般的な刃ではなく、ノコギリのような小さなギザギザが入っており、美しさと凶悪さが両立されている。

正直かなりカッコいい。


『おぉー!』

『中々に凶悪な見た目!』

『めっちゃカッコいいな』

『これが心核武器か』

『ヨナちゃんセンスありすぎ』

『斧使ってみたくなるなぁ』


「んむ!素晴らしいデザインじゃな!」

「あ、ありがとうございますっ!―――薔薇の棘の意匠は見た目も重視していますが、ガロウの牙を使用して、武器そのものに魔法耐性を付与してみました。武器スキルと合わせて、近接プレイヤーの苦手な魔法使いビルドともある程度戦えるようになっていると思います。また刃はノコギリ状にしてあり、切断よりも傷口を広げることを優先してみました」

「な、なるほどのぅ」


相変わらずヨナの斧に対しての熱意は凄いみたい。

ひとつのものに熱中するのは凄いことだけど、時々この子ちょっぴり怖いんだよね。

全然タイプは違うのに澪音の顔がよぎるのはどうして…?


「し、心核武器は強化が出来るみたいなので【破邪ノ月爪斧《壱式》】と名付けさせて頂きました。ま、また新しい強力な素材が手に入りましたら、呼んでください、ね?」

「う、うむ。またその時は、よろしく頼むのじゃ」




――――――




「試し振りじゃー!」


『じゃー!』

『じゃー!』

『のじゃあぁぁ!』

『のじゃのじゃ!』


ヨナから【破邪ノ月爪斧≪壱式≫】を受け取った私は試運転をしようと、当初の目的でもある『ロード遺跡』に向かうために、始まりの街を出て西の草原エリアへと向かっていた。


襲ってくるモンスターは私のステータスよりもはるかに格下。

≪壱式≫の一撃で倒せるものの、この辺りの敵はそもそも初心者用両手斧でも一撃で倒せていたからね。

せっかく作ってもらった 【破邪ノ月爪斧≪壱式≫】の使い勝手を確かめるためにも、ロード遺跡に早く向かいたいんだけど―――


「むぅ?」


前方に100人近い人たちが集まってるのが見える。

一人一人が何らかの武装をしているけど、そこに統一性はない。


試しに適当な人物のステータスを遠目に確認してみると、プレイヤーだということが分かる。


「ぬぅ、何かのイベントでもやっておるのかのう」


気になった私はその集団に向かって歩を進めていった。

少しづつ近付いていくと、その集団の視線はある一点を見つめているということに気がついた。


集団の影になっていて気が付かなかったけど、冒険者集団の先は大きな崖になっていて、向こう側に渡れないようになっていた。

プレイヤー達はどうやらその崖の向こう岸を見ているみたい。

唯一崖にかかっている大きな橋のみが向こう側に渡る手段になっていそうだけど、今から向こう側に渡るのかな……?



お花見とかピクニックとかだったら楽しそうなんだけど、何かな?何かなー?


集団の端までたどり着くと、私は手前に居た白銀鎧の騎士にウキウキ気分で話しかけた。


「すまぬ、少し尋ねたいのじゃが、これはいったい何のイベンt――「ぬっ!?もしかして君も参加希望者だね!その斧を見ると近接系ビルドみたいだけど、ちょうど良かった!俺のパーティーは前衛プレイヤーが少なくてね!」

「のわわわわっ!?」


話しかけた、騎士にがしりと肩を掴まれると、捲し立てられながらずりずりと引き摺られていく私。

おーたーすーけー!


しばらく地面を引きずられていくと、どうやら騎士のパーティーと思われる集団の元に案内される。


グローブのようなものをつけた褐色の猫獣人の少女が一人。

弓を持ったエルフの男性が二人と、魔術師のローブを纏った男性が一人、神官のような装備の男性が一人。


確かに騎士さんと、猫獣人ちゃんが前衛だとして、後衛は四人。

パーティー的に前衛が少ないのは分かるけど……これどういう状況?


「こ、これは、何の集団じゃ?ピクニックじゃないのかの?」

「ハッハッハ!この状況で冗談を言うなんて、中々に豪気なお嬢さんだな!俺は【クレイモア】副団長、『銀騎士』のオメガ。君も俺たちの掲示板募集を見てきたんだろう?」

「のじゃ?」


「リムロ大橋の狼狩り戦にようこそ、吸血鬼のお嬢さん!」


「聞いて無いのじゃあぁぁ!?」



――――――――




【ルルネ=フォン=ローゼンマリアⅣ世】


Lv : 18


HP : 112

MP : 71

STR : 114→182

DEF : 9

INT : 28

MND : 8→37

DEX : 7

AGI : 120→163

LUK : 13



【スキル】

血魔法:Lv3

魔眼:Lv5

吸血:Lv1

両手斧:Lv6

調薬:Lv6

暗視:Lv3

鑑定:Lv2

反撃:Lv4



【装備】

E:【破邪ノ月爪斧《壱式》】

E:『若草のリボン』

E:『若草のドレス』

E:『若草のブレスレット』

E:『若草のヒール』



【種族特性】

太陽・聖属性弱点

夜時ステータス微増



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― 新着の感想 ―
[一言] うーん、この巻き込まれ具合は草
[一言] 誰か保護者(妹)さん呼んで来て!!!!!
[一言] クレイモア炎上不可避で草
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