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ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
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12 山越え(2)

 ヴィーヴルは頂上から進むべき方向を見下ろした。

 途中までは木が1本も生えていないようで、見晴らしも良さそうな感じだった。

 だが、麓付近には森が広がっており、以前苦労させられたのと同じような感じの、昼でも日の光が地上まで届かないと思われるような深い森のようだった。

 遠くを見れば森の端も見えてはいるが、1日掛かるかもしれないぐらいの距離があるように思える。


(どうするべきなのじゃ……遠回りしても元に戻ってこられるか分からないのじゃ。

 だけど、また森の中を進むのも大変なのじゃ)


 ヴィーヴルは思わず綺麗だと呟いた景色のことなど忘れて、その場でこれから進む先のことを考え始めた。

 暫く考えた後、やはり行きたい方向へ戻ってこられるか分からない為、森の中を進むことを選択した。

 今回、選ばなかった方向は、次があればその時でも良いだろう。

 先ずは、目的地へと向かうことを優先するべきだ。

 旅立ちの時に、最初の目的地として考えていた場所へ間違いなく向かうことを考える。


 下りは登りに比べると、非常に楽に歩が進む。

 途中、小さな石に足を取られて転んでしまいそうになった。


(調子に乗ってはいけないのじゃ。

 しっかりと踏みしめて進むのじゃ)


 自分を戒めて、転んでしまわないように気持ちを入れ直した。

 そのせいもあってか、多少速度は落ちたもののしっかりした足取りで山を下っていった。


 日が一番高いところに届く少し前に、麓の森の前へと着くことができた。


(今の内に、少し日を浴びておくのじゃ)


 この先、暫くの間まともに日の光を浴びられないと考え、少しでも多く浴びておこうと考えたのだろう。

 ヴィーヴルはその場に座ると、目を閉じて両腕を一杯に広げて仰向けに倒れた。

 山の上から吹き下ろしてくる風は、ヴィーヴルの全身を優しく撫でていく。


(気持ち良いのじゃ……)


 ヴィーヴルは暫くそこで微睡んだ後、身体を起こして意を決したかのように一つ大きく息を吐いた後に森の中へと進んでいった。


 森の中は、ヴィーヴルが予想した通りに非常に歩き難い状態だった。

 それでも、このような状態だろうと覚悟していたこともあり、気持ちが落ちずに済んだ。


 そのまま辺りが暗くなるまで進み、暗くなったら木に登って夜を越えた。

 サーシャとのお喋りは何時も通り他愛の無いものだが、疲れを忘れさせてくれる。

 特に再び森の中を進むことになった今は、サーシャとのお喋りはその時だけでも森の中にいることを忘れさせてくれるので、とても嬉しく思う。


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