09 家を作る
「ヴィーヴル、魔法の練習として、貴女が家を作って貰える?」
「私が作るの? どうやって?」
「例えば、前の家みたいに、土に囲まれた家だって良いし、サーシャちゃんの家みたいに木で作っても良いわよ。
分からなかったら、お母さんが教えてあげるから。
先ずは家の大きさを決めちゃいましょうか。
お母さんが木を伐って、広場を作るから見ていてね」
雌の龍は風魔法で木を切り倒し、物体移動の魔法で切り倒した木を端の方へ積み上げた。
その後、全ての切り株を火魔法で焼き払った。
「この位の広さで良いかしら。
さぁヴィーヴル、良いわよ」
「うん、それじゃあ、サーシャちゃんの家の様に木で作ってみるね」
「今伐った木を使うと良いわ。
足りなかったら、自分で木を伐ってみなさい」
「うん、分かった」
ヴィーヴルは雌の龍が切った木を移動させて、積み上げようとした。
しかし、上に積んだ木は下へと転がり落ちた。
「お母さん、上手く乗らないよ」
「丸い物は転がりやすいから、そのまま上に乗せるのは難しいと思うわ。
転がらないようにするには、どうすれば良いと思う?」
「ん~っと……」
ヴィーヴルは考え込んでいる。
雌の龍は、その様子を微笑みながら何も言わずに見つめている。
焦らせる必要は無い、明日の朝までに出来ていれば良いのだし、その気になれば直ぐに作り上げる事だって出来る。
それまでは時間の許す限り、ゆっくりとヴィーヴルに考えて欲しい。
「分かった。
木を四角く切れば良いんだ」
「そうね、それで積み上げられると思うわ。
じゃあ、あの木をどんな四角い形に切るのかしら?」
「えっとね……あんな風にすれば良い?」
ヴィーヴルはサーシャの家を指差した。
「あれはね、木をこんな感じにして板と言うものにしているの」
雌の龍は横の方に積み上げられていた木から1本を魔法で浮き上がらせて、風魔法で木を伐り割いて数枚の板を作り出した。
「この板を、釘と言うものを使って木に貼り付けているの。
でも、ここには釘は無いわよ。
さぁ、どうしようか?」
「えっと……どうすれば良いの?」
「木が難しいようならば、他のでも良いのよ」
「そうだね……じゃあ、今は土で作ってみようかな?」
「えぇ、良いわよ。
どんな形にするの?」
「サーシャちゃんと同じような形にしてみる」
「それじゃあ、その形になる様に土魔法を使ってごらんなさい」
「は~い」
ヴィーヴルは魔力を込めて土魔法を行使した。
「出来た~」
「はい、良く出来ました。
でも、1つだけ問題があるわね」
「問題?」
「中まで土魔法で埋め尽くされているから、入ることが出来ないわね」
「あ、ホントだ……お母さん、どうしよう?」
「住めるだけの場所を中に作れば良いのよ。
ヴィーヴルの魔力で作った物だから、消したいと思いながら作った時と同じくらいの魔力を注ぎ込めば、簡単に消せるはずよ」
「そうなの? やって見るね」
ヴィーヴルは雌の龍に教えて貰った通りに、消したいと思いながら魔力を注ぎ込んだ。
すると、土で出来た家の中には、ヴィーヴルと雌の龍が入れるだけの空間が出来上がった。
「やった、出来た~」
「これで完成ね。
本当に良く出来たわね。
後は、必要になったらお母さんと一緒に作りましょうね」
「は~い」
「じゃあ、ヴィーヴルが作った家に入っても良いかしら?」
雌の龍は微笑みながらヴィーヴルへ許可を求めた。
ヴィーヴルは飛び跳ねんばかりに、障害物など何もない家の入口へと移動した。
顔には満面の笑みが浮かんでいる。
「どうぞ、お母さん。
私の家にようこそ」
「お邪魔しますわね」
そう言うと雌の龍はヴィーヴルと手を取り、出来上がったばかりの家の中へと入って行った。




