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ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
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07 他生物の影

 草原を歩いていたヴィーヴルに、突如、緊張が走る。

 生体感知の端の方に、何か動くものを感じた。


(大きさ的にはウサギや魔犬の類いではないのじゃ……)


 ヴィーヴルは少し高い草が生えている場所へと移動して、相手からは見えないようにその身を隠した。

 そのものとは未だ距離があるとは言え、見通しの良い草原では間もなく相手からも遠目には見えるようになるだろう。


 相手の数もまだ確認できていないため、こちらから相手へ渡す情報は少しでも減らして、相手からこちらへ得る情報は少しでも多くすることが重要だ。

 相手の数を把握し、こちらの存在を悟られないというのは、こちらの選択肢が増えて、それだけで数段有利に立ち回ることが出来る。


 ヴィーヴルは相手を見定めるために、息を潜めてその方向を見つめる。

 生体感知も同時に発動しながら……


 冒険者らしき人間の男が一人見えた。

 その後ろを進む4体ほどの同じ様な大きさの生物を感知した。


(5人パーティーの冒険者なのじゃ?)


 先行する1人は斥候なのだろう。

 幸いなことに、このまま此処に潜んでいれば、あちらは違う方向に進んでいきそうだ。


 ここでもし、ヴィーヴルが出ていっても、直ぐに戦うことにはならないだろう。

 見た目は人間の子供でしかないのだから、それを問答無用に襲うとは思えない。

 最終的には5人で囲むこともあるかもしれないが……


 人拐いだったとしても、言葉を掛けて出来る限り無傷で手に入れようとする。

 その方が高く売り飛ばせる。

 それに、子供を拘束する気になれば造作もないことだろう。

 尤も、ヴィーヴルならば人間の大人1人くらいならば、振りほどくのも容易ではある。


 要らぬ衝突を起こすよりは、やり過ごせるのであればそれに越したことはない。

 このまま息を潜めて、斥候の動向を注意深く見守った。


(そのまま行くのじゃ……)


 斥候は周りを見回しながら、注意深く進んでいる。

 ふと、斥候の動きが止まる。

 こちらの方を見ているような気がする。


(見つかったのじゃ?)


 ヴィーヴルは固唾を飲んでいる。

 斥候からは目を離せない。


 少しして、斥候は違う方向へ警戒の目をやり、先へと進んでいった。

 その後をパーティーの本体も進んでいく。

 パーティー本体は男2人、女2人のようだ。

 こちらは斥候ほどの緊張感を持たずに、斥候から少し距離を開けて進んでいる。


(斥候が確認しているとは言え、もう少し緊張感を持つべきなのじゃ……)


 ヴィーヴルは他人事ながら、パーティー本体の緊張感の無さに呆れていた。


(あの斥候が生体感知の範囲を外れるまで、潜んでおくのが良さそうなのじゃ)


 ヴィーヴルは、そのままパーティーをやり過ごすことに成功した。


(少し緊張したのじゃ)


 これからも、今回のようなことは起こり得るだろう。

 その時も、今回のように上手く行くとは限らないが、出来る限り衝突は避けていく方が利口だろうと考えていた。


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