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ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
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03 洞窟

 ヴィーヴルはその日も森の中を歩いていた。

 あれから結構な距離を数日か掛けて歩いているはずなのだが、まだ、森を抜けられそうな気配はない。


(これ程までに広い森だとは、思っておらんかったのじゃ)


 実際の森の大きさは、ヴィーヴルが感じている程の大きさはない。

 真っ直ぐに平坦な道を歩いているわけではないので、そのように感じているだけだった。

 その事は後に空から眺めたときに分かるのだが、地上を歩いているヴィーヴルにとってはそれ以上の大きさの森として感じられた。


 だが、空を飛んでいこうとは思わない。

 今となっては他人に見られる事よりも、歩き抜くということに対して何らかの目標を抱いていた。

 踏破することに固執していたのかもしれない。


 そんな訳で、ヴィーヴルはひたすらに道なき道を行く。

 歩き疲れたら、一休みして水魔法で喉を潤す。


 そんな時、森の中に地下へと通じる穴を見つけた。

 動物が入るものとしては少し大き過ぎるし、掘った穴としては入り口が歪なものだった。


(中に何か居るのじゃ?)


 生体魔法で、洞窟の中を探ってみる。

 それほど大きな生物の存在は感じられない。


 ヴィーヴルはその穴に興味を持ち、中へと入り始めた。

 無駄に衝突することは、ヴィーヴルとしても本意ではない。

 こちらの存在を相手が知ることなく終われば、それに越したことはない。


 物音を立てないように、回りの様子を見ながらゆっくりと慎重に進む。

 その間も生体感知を発動させているが、やはり大きな生物の反応はない。


 奥へと進む間、頭上を飛び回るコウモリが鬱陶しい。

 やる気になれば、火魔法で打ち落とすことも可能だが、そんなことはしない。

 邪魔をしているのはヴィーヴルの方である。


 暫くすると、多少、開けた場所へと出た。

 相変わらず、生体感知の魔法には大型動物の反応はない。

 ここまで見てきたところ、住処としていた洞窟とは違い、綺麗な石などは見当たらなかった。


(今日は、ここで寝るのじゃ)


 そう思うとヴィーヴルは変化魔法を解き、龍の姿へと戻った。

 そうして、そのまま丸くなって寝始めた。


(夜の間まででも、身体を休めるのじゃ)


 数日に渡り、気の休まるときになかったヴィーヴルにとっては、久方ぶりの龍の姿での休息だ。

 少しでも長く龍の姿で休みたかった。


 そのまま、サーシャから例の魔道具によるお喋りが開始されるまで、龍の姿のまま休んでいた。

 サーシャとのお喋りの間は、変化魔法により人間の姿形となる。

 こうしないと、人間の言葉を話すことができないのだから仕方がない。

 多少の手間はあるが、サーシャとのお喋りはしたい。

 人間の事を知るためとかではなく、単に友達としてありたかった。


 サーシャとのお喋りを終えた後、再び龍の姿へと戻り洞窟の中で、久しぶりに朝までの熟睡を満喫した。


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