表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
81/344

01 森の中を行く

(静かなのじゃ……)


 森の中を歩いていたが、大きな生物とは全く出会うことはなかった。

 サーシャが一緒に居たときには、生体感知に威嚇するだけの魔力を載せていた。

 今は生体感知のみで威嚇はしていない。

 だから、出会う可能性は十分にあるはずだった。


 上空では鳥が円を描いて飛んでいる。

 猛禽類のいずれかではあると思うのだが、何なのかは特定できていない。

 特定できたとしても、その名前が分かるかという疑問もあるのだが……


 その、円を描いていた鳥が、突然、こちらの方へ急降下してきた。


(向かってくるのじゃ?)


 そう思っていたのだが、途中の小枝に居た別の鳥を狙っての急降下だった。


(どうやら、違ったようなのじゃ)


 来ていることが分かっていれば、ヴィーヴルが鳥に遅れを取ることはない。

 それでも、迎え撃つ準備だけはしておいた。

 何事にも、万が一ということはある。


 すっかり、意識が歩くことから削がれてしまったヴィーヴルは、すぐに、再び歩き始めるという気持ちにはならなかった。


(一休みするのじゃ)


 近くの木の根の上に腰かける。

 水魔法を唱えて水を作り出し、両手で受けて喉を潤す。


(歩くというのは、中々進まないのじゃ)


 飛んでくれば、あっという間に此処まで来るだろう。

 だが、その姿を人間に見られたらどうなるか? 魔法使いと言うことで誤魔化せるかもしれないが、少しでも魔法に詳しいものが居た場合には無理だろう。

 人間の魔法には空を飛ぶと言うのがない。


 空を飛べる魔法を使えるのは、人間以外のエルフ、魔族とかそういう存在だ。

 この時点で、少なくとも人間ではないと言うことが分かってしまう。

 そうなると、厄介事になるのは火を見るより明らかだ。

 下手をすれば、拘束されてしまうかもしれない。

 拘束され検査されれば、龍であることが分かってしまうだろう。


 どう考えても、良いことは1つもありそうにない。


 今は人間の姿に、変化魔法を使って化けている。

 いつも通りに変化魔法を使うと角が見えてしまうが、今は角を隠した状態にしている。

 これで、あとは空を飛ぶところを見られなければ、人間の子供にしか見えないはずだ。


 なぜ、人間の子供がこんな森の中に1人きりでいるのか? と言う疑問は持たれるだろうが、人間以外の生物だと言うことが分かってしまうことに比べれば対した問題ではない。

 どちらが誤魔化せるか? と考えたときに、前者の方が遥かに楽なはずだ。


(さて、そろそろ行くのじゃ)


 ヴィーヴルは腰を上げて、再び歩き始めた。

 どこへ行くのも自由だが、最初に行くと決めていた場所へ向けて……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ