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ある龍の物語  作者: まっこ
第2章 臥龍
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40 旅立ち

(暫くの間は、此処ともお別れなのじゃ)


 サーシャ達父娘が街へと行った次の日、ヴィーヴルは住処である洞窟の前でそう思っていた。


 毎日のようにサーシャの家へと通っていたが、今はそうする必要が無くなった。

 今後は、魔道具によるサーシャの呼び掛けに対して答えるだけだから、自分が何処に居ようとも問題とはならない。

 たまにサーシャが森の方に遊びに来ることがあるかもしれないが、瞬間移動ができるヴィーヴルにとっては、これも問題ではない。


 ヴィーヴルが旅立ちを考えたのは、サーシャ達がこの地を後にしたことが機会になった。

 サーシャが居なくなったことにより、ヴィーヴルが独りでいる時間が増えるのは、火を見るより明らかだ。


 独りでいるということは、どうしても暇な時間となる。

 寝て過ごすのも良いかもしれないが、今は身体を動かしていたい。

 加えて、ヴィーヴルも世の中にある、まだ見たことがないものを見てみたくなった。

 絵本の中の世界と同じものが、本当にあるのか確かめたくなった。


 長い時間(とき)を生きることができるヴィーヴルにとっては、飽きるまで彷徨ったとしても一瞬のことでしかない。

 興味を持ったときに実行するのが、これまでヴィーヴルが通してきた生き方だし、今回のことも同じことだ。


(居ない間に荒らされるのは、好ましくないのじゃ)


 洞窟の入り口を土魔法で封じた。

 しかし、明らかに綺麗な土壁だったので、周りとの違和感がある。


(少し、崖崩れを起こさせるのじゃ)


 少し上空へと飛び上がり、山を崩して土壁を覆い尽くさせた。


(これで良いのじゃ)


 見た目には、ヴィーヴルでさえも洞窟があったことは分からない。

 これで、瞬間移動の目印もなかったら、帰ってこられないかもしれない。


(急ぐ旅でもないのじゃ。

 ゆっくりと歩いていくとするのじゃ)


 龍の姿で飛び回れば、世界中を廻るとしても数日あれば終わるだろう。

 それでは、上空から眺めることしかできないし、なにより龍の姿を見られてしまうこともあるだろう。

 それだけは避けるように母親である龍の雌から厳命されていたし、逆らうつもりもない。

 だから、旅している間は人間の姿への変身魔法を解くつもりはない。


 ヴィーヴルは地上へと降り立ち、ある方向へと向けて歩き始めた。

 旅立つと決めてから、最初に行こうと決めていた方向へと向けて……


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