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ある龍の物語  作者: まっこ
第1章 誕生
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08 新しい住処への移動

 話がまとまると、雌の龍とヴィーヴルは狩人の後について狩人の家へ移動し始めた。


「持って行くものは無いのか?」


 元々、身体一つで此処へとやって来たのだから、持って行くものなど何もない。

 ただ、何も持って行かないと言うのは、不自然すぎる。


「これの中に全部入っていますから」


 雌の龍は腰に下げられた小さな袋を指さした。

 何も入っていないが、入れようと思えば大抵のものは入れることが出来る。

 魔力で袋の中を大きく広げてあり、一般的にはストレージと呼ばれるものだった。


「そういえば、そんな魔道具があるって聞いたことがあるが、それがそうなのか?」


「えぇ、そうですね」


「便利なものなんだな、魔法って」


「魔法が使えなければ、あんなところで暮らしていけませんからね」


 そんな話をしながら、家へと向かっていた。


 途中、狩人は1頭のシカを見つけ、それを狩ると告げた。

 狩人も獲物を仕留めなければ、今日は遊んでいたのと変わらないことになってしまう。

 得物が居るのならば、狩れる時に狩っておきたい。

 雌の龍は手伝いを申し出たが、狩人はそれを断った。


「俺にだって、狩人としての矜持がある。

 自分の獲物は自分の力で仕留めるさ」


 そうまで言われてしまっては、雌の龍としてもこれ以上言うことは無い。

 ヴィーヴルと共に、狩人の狩りの仕方を邪魔にならないようなところで眺めていた。


「お前さんたちも、今日はうちでご飯を食べるかい?」


「いいえ、あなた達の生活には干渉しないと言いました。

 大丈夫ですよ」


「こういうのは干渉とは違うんだがな……まぁ、良いだろう」


 その後家に着くと、「娘を連れて来る」と言い残して、家の中へと入って行った。


「逃げようとしても、気配で分かりますからね」


「あぁ、そうらしいな」


 そうして暫くすると、家の中から男と娘であろう女の子が出てきた。


 

 ただ狩人の娘の方は、見た目は似たような歳の子供であるヴィーヴルの事を、目を輝かせて見つめていた。

 狩人の男が言っていた様に、周りには他の家は全く見当たらない。

 近いような歳の子が来たことで、遊び相手が出来ることが嬉しかったのかもしれない。


「わたしはサーシャ。

 よろしくね」


 狩人の男の娘は、今にも飛びかからんと言う感じで、ヴィーヴルの事を見つめている。


「私はヴィーヴル。

 よろしく」


 ヴィーヴルがそう答えると、サーシャはヴィーヴルの手を取り、自分の家の中へと引き込もうとした。


「サーシャちゃん、今日はこれから魔法で家を作らないといけないから、遊ぶのは明日からにしてね」


「いえをつくるの?」


「えぇそうよ。

 魔法で作るのよ」


「みていてもいい?」


「御免なさいね。

 危ないから、お家に入って居て貰えるかな?」


「ヴィーヴルちゃんも、いっしょにうちのなかにいたほうがいいとおもうの?」


「ヴィーヴルに、魔法の練習として家を作って貰うのよ」


「まほうのれんしゅう? わたしもやってみたい」


「それじゃあ、明日からヴィーヴルと一緒にやってみる?」


「ほんと? おとうさん、いい?」


 狩人の男は少し悩んでいる様だった。

 『人質』だと明言している相手の懐へと、易々渡すのも考えものだ。


「大丈夫ですよ。

 貴方さえ裏切らなければ、この子には手出し致しませんし、何があってもヴィーヴルと一緒に守りますから」


 雌の龍は狩人の心の内を読み取ったかのように、狩人に告げた。


「そうだな……」


 今までは俺が狩りに行っている間は家に居るように言っていたが、これからはお前さんの傍にいた方が安全かも知れない。

 さっきの戦闘でも分かるように、間違いなくあっちの方が上手だ。

 俺より強い敵だろうと、難なく守り抜くだろう。

 それに、何より『人質』は生きていてこそだ。


「良いだろう」


「やった~」


「じゃあ、サーシャちゃん、明日からヴィーヴルと一緒に始めましょうね」


「うん、じゃあ、ヴィーヴルちゃん、またね」


「うん、またね」


 そう言い残してサーシャと狩人の男は、家の中へと入って行った。


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