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ある龍の物語  作者: まっこ
第2章 臥龍
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37 松の葉相撲

 今日は森の家に行って絵本を読んでいた。

 とは言え、何度も読んだ絵本だから、物語のあらすじも覚えてしまっている。

 文字の確認が主な目的だった。


「ヴィーヴルちゃん、そとであそばない?」


「分かったのじゃ、そうするのじゃ」


 正直なところ、ヴィーヴルも絵本には飽きが来ていた。

 サーシャと同じように、何度も読み返しているのであらすじは覚えてしまっている。

 それよりは、外で遊びたいと思っていた。


「あっちのほうにいってみよ」


「分かったのじゃ」


 ヴィーヴルは生体感知の魔法を使いながら、サーシャと共に森の中を進んでいった。

 ふと、松の木を見る。

 大きな松ぼっくりは見当たらない。

 大きいものは、下に落ちてしまったのだろう。


 何気なく、松の葉を摘まんで取った。

 何故か、2枚が1組となり手元に残った。


(ここの部分で繋がっておるのじゃ)


 今まで、これ程までに松の葉をじっくりと見たことがなかったので、こうなっているのだと初めて知ることができた。


「サーシャちゃん、競争してみるのじゃ」


「なに、どこまではしるの?」


「走って競争するわけではないのじゃ。

 これを使って、どちらが強いか競争するのじゃ」


 ヴィーヴルは、サーシャの目の前に松の葉を差し出す。


「これって……どうやってやるの?」


 ヴィーヴルは、もう1組の松の葉を松の木より取った。


「これで、こうやって……両方から引っ張るのじゃ。

 ここが離れなかった方の勝ちなのじゃ」


 松の葉どうしを絡めて両側から引っ張ると、片方の松の葉が根本の部分から別れてしまった。


「わかった~、やってみよっか」


 サーシャは松の木から1組の松の葉を取り、ヴィーヴルの松の葉と絡めた。

 両者が松の葉を引っ張ると、サーシャの松の葉が離れてしまった。


「もういっかい」


 サーシャは再び松の木から松の葉を取り、ヴィーヴルの松の葉と絡めた。

 今度はヴィーヴルの葉が別れた。


「へへ~、さーしゃのかちっ」


「待つのじゃ。

 次は……これで勝負なのじゃ」


 ヴィーヴルは松の木から松の葉を取り、サーシャの松の葉と絡めた。


 この後、互いに勝ち負けを繰り返して戦いは続けられた。

 今日は、辛うじて日が暮れる前に帰らなければいけないと言うことに気がついたので、サーシャの父親に怒られることは避けられた。


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