35 新たな遊び(2)
漁の成果は芳しくはなかった。
ここ最近は、1度の網上げで1~2匹しか魚は入っていない。
サーシャの父親が売りに出せるほどの成果を上げられていなかった。
それでも、ヴィーヴルとサーシャが食べる分は取れているので、大きな問題としては認識していなかった。
「サーシャちゃん、今日の漁はもう終わりなのじゃ」
ヴィーヴルはこれ以上の成果を見込めないと踏んで、上がることを提案した。
どんな遊びか気になっているのも、心のどこかにあったのかもしれない。
「そうだね、じゃあ、きょうはおわろっか」
「それで、どの様な遊びなのじゃ?」
「なんのこと?」
「やりたいことがあるって、サーシャちゃんが朝に言っておったのじゃ」
「あ~、そうだったね~。
でも、そのまえに、とったさかなをたべない?」
「……分かったのじゃ。
火も丁度良いかもしれないから、魚を先に食べてしまうのじゃ」
「うん」
ヴィーヴルとサーシャは、焚き火の前へと移動した。
焚き火の火が小さくなってきていたので、薪を追加した。
追加した薪は、その日にヴィーヴルが集めてきた薪だったので、燃えるまで多少時間がかかり、なおかつ再び煙が周辺を覆い尽くした。
「しまったのじゃ。
サーシャちゃん、避難するのじゃ」
ヴィーヴルはサーシャに手を伸ばして、共に煙の来ないところまで逃げた。
「今日、拾ってきた薪は使えないのじゃ。
ちょっと、薪を拾いに行ってくるのじゃ」
「じゃあ、サーシャもひろいにいくよ」
「では、2人で薪を集めるのじゃ」
「わかった~」
ヴィーヴルとサーシャは再び二手別れて、今度は両者ともに薪を集めに行った。
今度は、枯れて落ちていた枝を選んで拾ってきた。
「今度は大丈夫なのじゃ」
「けむりいっぱいも、おもしろかったけどね」
「あれでは、近くに居続けられないのじゃ。
魚が焼けるのを見ておれないのじゃ」
「めがいたくて、なみだがでちゃうもんね」
「そうなのじゃ」
ヴィーヴルとサーシャは煙が少なくなるのを待って、拾ってきた薪を持ちながら焚き火へと近づいて、拾ってきた薪を焼べた。
今度も煙は出たが、前回までの様に辺りを覆い尽くすようなことはなく、焚き火の側にいることができる。
煙の色も、灰色か黒いものだった。
「サーシャちゃん、魚を焼くのじゃ」
ヴィーヴルは魚をサーシャに差し出しながら言った。
「うん」
サーシャは魚を受け取ると、拾ってきた薪の中から適当な枝を取って魚へ刺した。
ヴィーヴルも同じように枝を魚に刺して、焚き火の側に立てた。
暫くすると、焚き火の側にはこんがりと焼き上がった魚が2匹、刺さっていた。




