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ある龍の物語  作者: まっこ
第2章 臥龍
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33 自然の摂理

「サーシャちゃん、魚を全然捕まえられないのじゃ」


 今日の漁も、前回と同じように川下で網を張って待ち、川上から次々と土魔法で魚を追い込んで捕まえた。

 ただ、今回は前回ほどの数を捕まえられていない。

 初回、2回目ともに1匹ずつしか捕まえられなかった。


 先ほどの言葉は、その状態を受けてのヴィーヴルの言だった。


「どうすればいいんだろうねぇ……」


 ヴィーヴルが魔法を使って魚を攻撃して捕まえる事は禁止された。

 それだと魚を捕まえることはできるのだが、売り物にはならないらしい。

 ヴィーヴルとサーシャが捕まえた魚は、全て自分達で食べてしまうわけではなく、サーシャの父親が売ってきているらしい。

 その売り上げは、ヴィーヴル達が貰った網の代金としている。

 網の代金はいくらだったのかは聞いていないが、ヴィーヴルたちは問題としていなかった。

 ヴィーヴル達には、自分達が食べる分以外の魚の使い道がない。


 売り物になる魚を捕まえるためには網で捕まえるしかないのだけど、今回は惨憺たる結果だった。


「そもそも、魚がもうおらんのじゃ」


 ヴィーヴルは川の中の様子を伺っているが、魚の気配は全く感じられない。

 今、漁をしたとしても、魚を捕まえる事はできないだろう。


「どこかに、にげちゃったのかな?」


「恐らく、そういうことなのじゃ」


 今までのこの場は、ヴィーヴル達がいない状態で生態系が成り立っていた。

 その生態系では肉食の鳥が頂点に立っていたものの、狭い範囲内でそれほど多くの魚を捕食されることはなかった。


 そこに、絶対的頂点のヴィーヴル達が現れた。

 その王者は、あっという間に容赦なく蹂躙し始めた。

 ヴィーヴル達にその気はなくとも、結果的にはそういうことになる。


 その為、その場を縄張りとし続けた魚はいなくなってしまった。

 生き残った魚は、その場を捨てて他へと逃げた。

 その場に留まれば次に狩られるのは己であるのかもだから、当然の成り行きだ。


 誰が悪いということはない、世の中はそうした摂理で成り立っているのだから。

 かつて、ヴィーヴルと雌の龍が逃げ出して来たように……


 ヴィーヴル達が今後も漁を続けていくためには、全てを狩り尽くしてはいけない。

 そんなことをしたら、資源としての魚は枯渇してしまう。

 一定の数を得たら、その後は保護する必要がある。


 本来ならば、こういったことを教えるのは大人の仕事だ。

 しかし、残念ながら此処に大人の姿はない。

 そうなると、ヴィーヴル達が自ら気付くしかない。


「サーシャちゃん、場所を変えて漁をするのじゃ」


「そうだね……そうしよっか」


 ヴィーヴル達が分かったことは、その場ではこれ以上得ることができないということだけだったようだ。

 

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