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ある龍の物語  作者: まっこ
第2章 臥龍
71/344

31 水切り(3)

「サーシャちゃん、分かったのじゃ。

 投げ方を変えないといけないのじゃ」


「なげかた? どんなふうになげるの?」


「絵本に描かれていたように投げるのじゃ。

 投げた後は身体が横になっていたから、身体を横にしたまま投げれば良いのじゃ」


「からだをよこに?」


 サーシャは身体を横に傾けてみた。

 その体勢のまま、腕を振って石を投げる真似をしてみる。


「う~ん、うまくなげられないかもしれないよ」


「物は試しなのじゃ。

 何事もやってみるのじゃ」


 ヴィーヴルは平たく加工した小石を拾い上げ、身体を横にして湖に向かって投げてみる。

 小石は1回だけ水面を跳ねて、水中へと落ちていった様に見えた。


「サーシャちゃん、見ていたのじゃ? 2回跳ねたのじゃ」


 どうやら水中へと沈む直前に、ほんの僅かながらもう一度跳ねていたようだ。

 だが、それを見ていたのはヴィーヴルだけのようで、サーシャには1回しか跳ねていなかったように見えていた。


「え~、はねたのは1かいだけだったよ~」


「最後にちょっとだけ、もう1回跳ねたのじゃ。

 もう1回やってみるから、良く見ているのじゃ」


 ヴィーヴルは先ほどと同じように身体を横に寝かせるようにして小石を投げた。

 2回目ということもあってか、先ほど投げた時より小石のスピードは早くなっていた。


 ヴィーヴルの投げた小石は、3回ほど水面を跳ねて水中へと落ちていった。


「サーシャちゃん、見ていたのじゃ? 今度は3回跳ねたのじゃ」


「うん、3かいはねたね。

 サーシャもやってみるよ」


 サーシャの投げた小石は、ヴィーヴルの投げたものと比べて勢いがなかったので、跳ねることなく水中へと消えていった。


「サーシャちゃん、頑張るのじゃ。

 次はきっと跳ねるのじゃ」


「そうだね、がんばってなげるよ」


「妾は平たい石を作るのじゃ。

 サーシャちゃんは投げ続けるのじゃ」


 ヴィーヴルは風魔法で小石を割って、平たい石を次々と作っていく。

 サーシャはその小石を拾って、湖へと投げ込んでいく。


 4投目で変化があった。

 サーシャの投げた小石が、2回ほど水面を跳ねた。


「ヴィーヴルちゃん、はねたよ」


「確かに、2回跳ねたのじゃ。

 身体を横にした方が跳ねるのじゃ」


「うん、じゃあ、もっとがんばろっか」


「頑張るのじゃ」


 ヴィーヴルは平たい石を作り、サーシャと一緒に湖へと投げ続けた。

 その日は、両者ともに3回水面を跳ねたのが最高記録だった。


「またこんど、やろうね」


「あぁ、次は4回跳ねらせるのじゃ」


「じゃあ、サーシャは5かいだよ」


 サーシャの家へと瞬間移動によって移動し、家の前で別れた。

 その夜、ヴィーヴルは1人湖へと移動して、夜中の間、湖へと向けて小石を投げ込んでいた。


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