27 上空を目指す
「サーシャちゃん、おはようなのじゃ」
「ヴィーヴルちゃん、おはよ~」
いつも通り、ヴィーヴルは瞬間移動でサーシャの家に来ていた。
毎日、飽きもせずに遊ぶことが出来るなと思うかもしれないが、互いに互いしか遊び相手がいない。
無いものを強請っても仕方が無いし、互いに満足しているのだから問題もない。
「ヴィーヴルちゃん、きょうはおねがいしていい?」
「なんなのじゃ? 妾に出来る事ならば良いのじゃ」
「えっとね……サーシャをおそらにつれていってくれる?」
「それは、一緒に飛びたいということなのじゃ?」
「うん、おそらからまわりをみてみたいの。
だめかな?」
ヴィーヴルはサーシャと一緒に空を飛んだことはあるが、お願いされて飛ぶことは初めてかもしれない。
「良いのじゃ。
何処まで上に行きたいのじゃ?」
「えっとね、くもまでいきたいけどいいかな?」
「雲までなのじゃ……」
ヴィーヴルは考え込んだ。
龍であるヴィーヴルには問題ないが、人間であるサーシャには上空へ行く事に対して問題を抱えている。
その事を、ヴィーヴルは母親である龍の雌から以前に聞かされていた。
「いけないの?」
「妾だけならば行けるのじゃ。
だけど、サーシャちゃんが我慢できないかも知れないのじゃ」
「がまん? なんでがまんするひつようがあるの?」
「空の上に行けば良く程、寒いのじゃ。
それに、雲の中はいつも雨が降っているのじゃ」
ヴィーヴルは周りの温度に左右されずに活動することが出来る。
温度が高いから活発になるとか、低いから活動が鈍くなると言うことは無い。
温度だけならば、真っ赤に燃え盛るマグマの中であろうと問題とはならない。
ただし、温度には耐えられるが物理的なものが耐えることが出来ない。
マグマの中では鱗が消滅してしまうし、身体も溶かされてしまう。
絶対零度も同じで、幾ら温度に耐えられたとしても、細胞が活動を停止してしまう。
「そうなの? おひさまにちかくなるから、あたたかいんじゃないの?」
「妾にも良く分からんのじゃ。
不思議な事に、上に行けば良く程寒くなるのじゃ」
「じゃあ、がまんできるところまでつれてってもらえる?」
「分かったのじゃ。
でも、絶対に無理をしないと約束するのじゃ」
「うん、わかったよ」
「では、行くのじゃ」
ヴィーヴルはサーシャの手を取り、一緒に大空を上へ上へと飛び立った。
飛び立って暫くして、サーシャがヴィーヴルを止めた。
何でも、耳が痛くなってしまったとのことだった。
暫くしてサーシャの耳の痛みが取れたので、再び上空を目指して飛んだのだが、再度、耳の痛みを訴えた。
2人で話し合った結果、あまり高いところまで行くと耳が痛くなるのでは? と結論だ出たため、森の木々より少し上で空を飛び回った。
「みみがいたくならないなんて、ヴィーヴルちゃん、ずるい」
「狡いと言われても、妾にはどうする事も出来ないのじゃ……」




