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ある龍の物語  作者: まっこ
第2章 臥龍
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26 雨の日は……

「おはよう、ヴィーヴルちゃん。

 きょうは、いえのなかであそぶ?」


 ヴィーヴルは、今日も朝からサーシャの家の入口の前へと来ていた。


「偶には、雨の日に森の家に行ってみたいのじゃ」


 これまで、森の家には雨が降っていない時にしか行ったことがなかった。

 雨の中を移動してまで森の家に行く必要性が全くないのだから。

 一緒に遊びたいのならばサーシャの家でも十分だし、話がしたいのならば魔道具を使えば良い。


「もりのいえにいくの? ぬれちゃうよ」


「それは大丈夫なのじゃ」


「あ、しゅんかんいどうでいくんだね?」


「今回は瞬間移動を使わずに、歩いて行くのじゃ」


「え~、それじゃあ、やっぱりぬれちゃうよ~」


「こうすれば大丈夫なのじゃ」


 ヴィーヴルの頭の上で、薄い空気の渦が出来ていた。


「すご~い、どうやってるの?」


「頭の上で風魔法を回しておるのじゃ。

 こうすれば、雨は下に来ることなく周りに飛んでいくのじゃ」


「へぇ~……」


 サーシャはヴィーヴルの頭上で渦巻いているものに触れようと、手を伸ばした。


「危ないのじゃ。

 触ってはいけないのじゃ」


 咄嗟にヴィーヴルは風魔法を解除する。


「そうなの?」


 サーシャは何処か他人事のようにヴィーヴルへと問い掛ける。


「見えないけど、木を伐ってしまうくらいに危ないものなのじゃ」


「わかった~、きをつけるね」


 やはり、何処か他人事のような返事をした。

 自分が気を付けなければいけないと決心したところで、改めてサーシャを森の家へと誘う。


「そう言う訳で、これを使えば雨に濡れなくて済むのじゃ。

 サーシャちゃん、森の家に行くのじゃ」


「わかった~、ちょっとまっててね。

 おとうさんにいってくる~」


 雨の為、狩りを休んで家に居るのであろう父親に、サーシャは出掛けることを伝えに行った。


「おまたせ~、じゃあ、いこっか」


 ヴィーヴルとサーシャは手を繋いで森の家へと向かって歩いた。

 一応、生体感知を行っているが、雨の為か動物や魔物たちの気配は全くない。

 周りに聞こえる音と言えば、雨粒が木の葉を叩く音ぐらいだ。


「なんか、ふしぎなかんじだね……」


「本当にそうなのじゃ。

 何時もとは違った森のように感じるのじゃ」


 その後、2人は言葉なく森の家まで歩いてきた。

 そのまま、言葉を交わすことなく無言のまま家の中へと入る。


 ヴィーヴルとサーシャは入り口近くに座ると、やっとヴィーヴルが言葉を発した。


「雨の日に来れば何か違うかもと思ったのじゃ」


「うん、ちがったね」


「何か、こう、寂しいと言うか……何とも言えない感じなのじゃ」


「そうだね……でも、これはこれでいいとおもったよ。

 つぎのあめのひも、またこようね」


「そうするのじゃ。

 勿論、歩いてくるのじゃ」


「うん、そうだね」


 その日、2人は森の家でお喋りをして過ごした。


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