25 ブランコ遊び
ヴィーヴルとサーシャは、朝から森の家にあるブランコで遊んでいた。
最近は、ブランコで前後に思いっきり勢いをつけて、とちらがどれだけ遠くに飛ぶことが出来るかを争っている。
此処に、ヴィーヴルかサーシャの親が居れば「危ない」と止めるかも知れない。
だが、残念なことに止めるであろう大人の存在は今は無い。
最初の内は少しずつ飛ぶ距離を伸ばしていったのだが、手元が狂い思った以上に勢いをつけて飛び、それが偶々上手く行ったことによりどんどん勢いが増していた。
勢いが増すと、飛ぶときの高さも増してくる。
次はもっと勢いをつけて……次は更に……と、どんどん勢いは増していく。
そんな感じで遊んでいる内に、サーシャが飛んだ時に右足の離れが悪くて、飛んでいる最中に体勢を崩して頭から落ちそうになった。
「きゃ~~~~」
「危ないのじゃ」
咄嗟にヴィーヴルが風魔法を発動させた為、寸でのところで地面との激突は避けられた。
サーシャの体勢が整ったところでヴィーヴルが風魔法を解除した。
サーシャはその場に降り、そのまま座り込んでしまった。
「こわかった~」
「今のは危なかったのじゃ」
「とおくにとぶのは、やめたほうがいいかな?」
「そうするのじゃ。
今は間に合ったので良かったが、次も間に合うとは限らないのじゃ」
「うん、とぶのはなしね」
飛ぶことは無くなったが、前後に勢いをつけるのは相変わらずだった。
その内、枝の高さまで座面が届くぐらいの勢いがあった。
このままいけば、一回りしてしまうか? それ位の勢いをつけてブランコが前後に動いていた。
これも、大人がその場に居れば注意したのかも知れないが、その場に大人は居合わせていない。
飛ぶことよりは危険性が少ないのが救いだろうか? 一応、危ない状態ではなさそうではあった。
そんな感じで遊んでいると、いつの間にか日はかなり傾いており、空は真っ赤に燃えていた。
ヴィーヴルは食事を摂らなくても問題はないが、サーシャは食事を摂る必要がある。
しかし、2人はお昼ご飯も食べずに、ずっと遊んでいた。
食べずにと言うよりは、食べることなど全く考えることなく遊んでいた。
「サーシャちゃん、そろそろ帰らないと、また怒られてしまうのじゃ」
「そうだね、かえろっか」
2人は手を繋いで、帰路に就く。
「サーシャ、おなかペコペコだよ」
「ずっと遊んでおったのじゃ。
お昼ご飯のことなど、すっかり忘れておったのじゃ」
「ほんとだね」
2人の影は自身の身長の何倍にも伸びている。
その影が先導するかのように、2人はサーシャの家へと歩みを進めた。




