24 初めての漁(2)
早速、サーシャが網を張ろうと歩き出した所、ヴィーヴルが制止した。
「サーシャちゃん、ちょっと待つのじゃ。
先ほどの魚たちが戻って来てから、網を張りに行くのじゃ。
今のままでは、魚が居らんのじゃ」
「あ、そうだね。
それじゃあ、もどってくるまでなにする?」
サーシャには、何もせずに待つという選択肢はない様だ。
「川に石を投げこんだりしては、魚が戻ってこないのじゃ。
森に行って、小枝を拾いに行くのじゃ。
焚き火の用意をするのじゃ」
「わかった~」
ヴィーヴルとサーシャは森の中へと入り、焚き火に使う小枝や薪を集めに行った。
焚き付けに使う、松ぼっくりや松の枝も忘れずに拾う。
帰ってくると、これまた以前にヴィーヴルの母親が作った竃へ、拾ってきた松ぼっくりや小枝、薪を組んで入れ火魔法で火をつける。
すぐに魔法ではない火が立ち上る。
「暖かいのじゃ」
「ほんとだね」
ヴィーヴルとサーシャは、暫くの間、焚き火をただ眺めていた。
眺めている内に、2人とも舟を漕ぎ始める。
ヴィーヴルの体勢が大きく前へと崩れると同時に、ヴィーヴルの目が覚めた。
「危なかったのじゃ」
あのままだったら、ヴィーヴルは焚き火へと身体ごと突っ込んでいたかも知れない。
外皮を覆っている鱗は硬いが、温度が無効になることは無いので熱いものは熱い。
意識がある時ならば、風魔法なり水魔法で熱を遮断させれば良いのだが、先ほどのように意識がない状態や不意打ちには対応できない。
隣を見てみると、サーシャも同じように体勢を崩しかけていた。
「サーシャちゃん、危ないのじゃ」
ヴィーヴルはサーシャの前へと腕を出して身体を支えながら、サーシャへと声を掛けた。
「ん……ヴィーヴルちゃん、おはよ……」
「……おはようなのじゃ。
そろそろ、魚取りを始めるのじゃ」
「うん、わかった~」
ヴィーヴルとサーシャは川下の方へと移動し、ヴィーヴルが川の上を飛んで2人で川を跨ぐように網を張った。
そのまま、ヴィーヴルが上流から2人の方へ向かうように土魔法で土の塊を川へと落としていく。
すぐ手前の川の中へと土の塊を落とした直後、ヴィーヴルがサーシャの方へと川の上を飛んできた。
「サーシャちゃん、網を引き揚げるのじゃ」
「わかった」
2人は力を合わせて網を引き揚げる。
網と川底の間をすり抜けて逃げた魚もいたようだが、数匹の魚が網の中に入っていた。
「捕まえたのじゃ」
「うまくいったね」
捕まえた魚をストレージへと仕舞った後、2人は焚き火の元へと戻った。
焚き火に当たりながら魚が戻ってくるのを待ち、再び漁を行う。
「今日はもう良いと思うのじゃ」
「うん、そうだね」
2度の漁で捕まえた魚は9匹。
初めての漁にしては上出来だと思われた。




