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ある龍の物語  作者: まっこ
第2章 臥龍
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22 かいほう(3)

「サーシャちゃん、そろそろ、しましまを森へ返してあげるのじゃ」


 最近のしましまは良く食べて、狭い柵の中をうろうろしている。

 すっかり体力も回復して、自由に動きたくて仕方がないように見える。


「え~、まだはやいんじゃない?」


 サーシャは先延ばしにしたい様だ。

 あわよくば、このまま飼ってしまおうとか考えているのではないだろうか? そんなことも思ってしまう。


「ダメなのじゃ。

 しましまは外に出たがっている様なのじゃ。

 それに、後々になればなるほど、別れにくくなるのじゃ」


 この辺の知識も絵本の受け売りだが、自分に置き換えて考えてみた。

 ヴィーヴルにとっては、母親との別れとしましまとの別れでは、比較の対象とは全くならない。

 サーシャとの比較ならばサーシャの方が辛いだろうと言う事で、一緒に過ごした時が長ければ長い程に別れが辛くなるだろうとの考えに至った。


 サーシャも自分と同じ気持ちになって貰えるのかは未知数だが、少なくともヴィーヴルにとってはしましまとの別れより、サーシャとの別れの方が現時点では辛い。

 時を経れば、ヴィーヴルもしましまとの別れが辛くなるものとなるのかも知れない。

 それならば、今のうちに別れた方が良いだろう。


「ヴィーヴルちゃん、どうしてもだめ?」


 尚もサーシャは食い下がってくる。


「ダメなのじゃ」


 ヴィーヴルは心の中で「サーシャちゃんの為なのじゃ」と思いながら、頑なにサーシャの提案を拒絶する。


「それに、さっきも言ったように、しましまも出たがっている様なのじゃ。

 狭い柵の中に閉じ込めておくより、広い森の中で過ごさせた方がしましまにとっても良いと思うのじゃ」


 その自由と引き換えにはなるが、自力で餌や水場を確保しなければならない。

 此処に居ればヴィーヴルとサーシャが用意してくれるだろうが、自由になることの代償として自力で生きていく事が必要だ。

 また、自分の身は自分で守らないといけなくなる。

 ヴィーヴルの作った柵により身の安全が保障されていたが、今後は守ってくれるものは自分自身しかいない。

 今後は森の中でヴィーヴル達と遭遇した時には、食料として狩られてしまう事だって考えられる。


 尤も、そのことを2人と1匹は全く考えていない様子ではあるのだが……


 その後もサーシャはごね続けたが、ヴィーヴルの必死の説得によって、日が暮れる前には何とかしましまを森に返した。

 途中、口には出さなかったが、(サーシャちゃんも森に返すことに納得したのではなかったのじゃ?)と思った。


 そのせいか、何時もより疲れた気がして、寝床で丸くなるとすぐに寝ることが出来た。


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