21 ブランコ完成
ヴィーヴルの住処である洞窟の前で黙々と作業を続ける事3日、その間にサーシャの父親が買ってきた網のことなぞ放置して2人で太さの違う2本の縄を編み上げた。
1本作ったところでブランコを作る予定だったのだけど、お互いに縄作りが面白く感じてしまい、もう1本を編み上げてしまった。
まぁ、有っても困るものではないので良いだろうということで、今後も暇を見つけては作ると言う事で話は終わった。
その間もしましまの世話は怠ってはいない。
そのしましまも、目に見えて元気になっているので、近いうちに森へと返せることだろう。
今日は、中断していたブランコ作りを再開する。
サーシャの家に置いてあった縄と、ヴィーヴルとサーシャが編み上げた縄の内の1本を使う。
ヴィーヴルはブランコを設置する枝を探して、森の家の近くをサーシャと共に彷徨っている。
今回は生体感知と威嚇を行っている。
余談だが、家に居るしましまはヴィーヴルの生体感知により、柵の端っこで震え上がっていた。
森の中に居るのならば、真っ先に逃げ出したいところなのだが、狭い柵の中に閉じ込められているので逃げ場がなく、端っこで震えているしかない。
ヴィーヴルはしましまが動かなくなったことを気になってはいたが、仕方がないと諦めた。
「この枝はどうじゃ?」
ヴィーヴルは、ブランコを設置するのに良さそうな枝の上で、サーシャに問い掛ける。
「う~ん、ちょっとたかいかなぁ」
縄の長さには限度がある。
枝の位置が高すぎると、座る位置が高くなってしまいブランコに乗りにくくなってしまう。
ある程度の高さは必要だが、高すぎるのは頂けない。
ヴィーヴルは「ならば」と言わんばかりに次の枝へと文字通り飛んでいき、サーシャに問い掛ける。
今度の枝は、高さは良いのだが細すぎるとのことだった。
「なかなか、難しいのじゃ」
「あんまりほそいと、ふたりでのったらえだがおれちゃうかもしれないからね」
「妾は飛んでおれば良いのじゃ。
それならば、重さは関係ないのじゃ」
「それだと、ブランコにのったことにならないからだめだよ」
「そうなのじゃ? 変わらないと思うのじゃ」
「きちんとのってあそばないとだめだよ」
「分かったのじゃ」
サーシャはブランコに乗って遊ぶ事に、何らかの拘りがあるのかも知れない。
ヴィーヴルにはそんな拘りもなければ、今までブランコで遊んだこともないのでサーシャの言に素直に従った方が良いと考えた。
「ヴィーヴルちゃん、あのえだはどうかな?」
「これなのじゃ?」
ヴィーヴルはサーシャの指さした枝へと飛んで行った。
その枝はほぼ真横へと広がっており、太さ的にも子供2人ならば難なく支えられると思われる。
「良さそうなのじゃ。
では、この枝にブランコを作るのじゃ」
ヴィーヴルはストレージに仕舞っておいた縄を取り出して、縄で輪を作り先を結んだ。
結び方は所謂、玉結びと言われる結び方だ。
枝の途中に土魔法で突起を作り、それ以上輪の部分が下へとずれない様にしておいた。
この作業を2回繰り返し行い、枝からは2本の縄が垂れ下がっている状態になった。
ヴィーヴルは枝上での作業を終えると、サーシャの元へと降りてきた。
「あとは、いたをつけるだけだね。
あれとおなじようにむすぶの?」
「あれだと、どうしてもずれてしまうのじゃ。
なので、こうするのじゃ」
ヴィーヴルは風魔法で板に2つ穴を開けた。
大きさは縄が通るくらいの大きさだ。
その穴に縄を通して、座りやすい位置に板の高さを合わせると、板の下側の縄を2度の玉結びで結んだ。
もう片方にも同じ作業を行い、ブランコが完成した。
「こうすれば、板がずれることも、外れてしまう事もないのじゃ」
「じゃあ、さっそくブランコであそぼ」
「分かったのじゃ」
その日、2人は日が暮れるまでブランコで遊んでいた。
サーシャを家へと送り届けると、既にサーシャの父親は帰宅しており、2人は大目玉を食らってしまった。




