15 保護
森の家へと到着したヴィーヴルは、家の入口を開けてサーシャが子供のイノシシを持ったまま入れるようにした。
サーシャは家の中に入ると、腕の中で横たわっている1匹を地面へとゆっくり下した。
ヴィーヴルはその間に土魔法で器を作り出し、その器の中を水魔法で満たした。
「水なのじゃ」
「ありがとう、ヴィーヴルちゃん」
サーシャはヴィーヴルより水の入った器を受け取り、イノシシの子供の前へと差し出した。
横たわっているイノシシの子供は、全く動かない。
「どうしよう、ヴィーヴルちゃん。
おみずをのんでくれないよ」
「少しずつ与えてみてはどうじゃ?」
ヴィーヴルは水の入った器を持ち、木の枝を伝わせてイノシシの子供の口の中へと水を少し流し込んだ。
少しの間をおいて、イノシシの子供の喉の辺りが微かに動いたように見えた。
「ヴィーヴルちゃん、おみずをのんだよ」
「このまま、少しずつ水を与えるのじゃ」
「わかった~」
ヴィーヴルはサーシャに器と木の棒を渡すと、ストレージの中を漁り始めた。
その間もサーシャはイノシシの子供に、少しずつ水を与えていた。
イノシシの子供が水を飲む量が増えたように見える。
「もう、良いかも知れんのじゃ。
次は食べ物なのじゃ……妾にはイノシシが何を食べるのか分からんのじゃ。
サーシャちゃんは知っているのじゃ?」
「サーシャもわからない……」
サーシャは子供のイノシシを地面へと置きながら答えた。
イノシシの子供は、サーシャの手を離れると左右に揺れながらも部屋の隅へと移動していった。
「それは、困ったのじゃ。
食べる物が分からなければ、何を与えれば良いのか分からないのじゃ」
「そうだね……」
サーシャは水の入った器を子供のイノシシの前へと差し出すが、部屋の隅から動かなくなってしまった。
「どうしたのかな?」
「警戒しておるのかも知れんのじゃ。
あまり近づかん方が良いのかも知れないのじゃ」
サーシャはヴィーヴルの方へと帰って来た。
二人は顔を見合わせて、イノシシの食べ物について考えた。
……が、普段からイノシシを見ている訳でもないので、イノシシの生態について知る訳はない。
「考えても分からないのだから、あるもの全部出してみるのじゃ」
ヴィーヴルはストレージから肉、木の実などを取り出して、子供のイノシシの前に置いた。
「このまま暫く様子を見るのじゃ。
今はおびえている様で、何も食べない様なのじゃ。
妾達は、此処から居なくなった方が良いかも知れないのじゃ」
「そうだね……」
ヴィーヴルは、イノシシの子供へ背を向けて出ようとしたが、振り返り……
「そうじゃ、一応、囲いを作っておくのじゃ」
ヴィーヴルは土魔法で作った棒で、イノシシの子供と水や食料の周りと上部に囲いを作った。
「こうしておけば何かが来たとしても、手出しできんのじゃ。
このまま、明日また様子を見に来るのじゃ」
「うん、わかった」
2人は手を繋いでサーシャの家へと向かった。




