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ある龍の物語  作者: まっこ
第2章 臥龍
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14 迷子

 今朝もいつも通りに、サーシャを迎えに行き2人で森の家へ向かっていた。

 散歩がてら、2人で並んで歩いていると、何者かが此方へと向かって来ている物音がした。


(しまったのじゃ。

 油断して、生体感知を忘れていたのじゃ)


 普段であれば生体感知の魔法を使いながら、ある程度の魔力も乗せて相手が警戒して此方へと来ないようにしていた。

 最近は動物や魔物の気配がすっかりなくなっていたので、生体感知を行わないようになっていた。

 そのことを、その何者かが気付いたのかもしれない。


「ヴィーヴルちゃん、なんかおとがしたよ?」


「そうなのじゃ。

 サーシャは妾の後ろに隠れて、前に出てはいけないのじゃ」


「それより、にげようよ」


「背中を見せてはいけないのじゃ。

 背中を見せて逃げると、襲い掛かってくるかもしれないのじゃ」


 ヴィーヴルは背中にサーシャを隠すようにして、物音の方へと正対した。


「なんだろ?」


 背中のサーシャが小声でヴィーヴルに問い掛ける。

 ヴィーヴルは生体感知の魔法で、相手の把握を試みる。

 同時に魔力も乗せて相手への警告もしたのだが、全く意に介することなく此方へとゆっくり歩みを進める。


「分からんのじゃ。

 ただ、それ程大きなものではないのじゃ」


 2人は物音の方を注視する。

 暫くして草陰からは現れたのは、イノシシの子供だった。


「ヴィーヴルちゃん、あれ、イノシシのこどもだよ」


 サーシャはヴィーヴルの背中越しに、草陰から現れたイノシシの子供を指さす。


「そうなのじゃ? 危なくないのじゃ?」


「こどもならあぶなくないとおもうよ」


「そうなのじゃ? でも、何故、こんな所に1匹で居るのじゃ? この辺に居るのは、この1匹だけなのじゃ」


「わかんないけど、はぐれたのかな?」


 サーシャはイノシシの子供へと駆け寄った。

 イノシシの子供は、急にサーシャが近づいたにもかかわらず、逃げ出すことなくゆっくりと歩みを進める。


「その子供は、どうやら弱り切っている様なのじゃ」


「どうすればいいとおもう? ヴィーヴルちゃん」


 そう言っている間に、イノシシの子供は横に倒れてしまった。


「とりあえず、森の家へ運ぶのじゃ。

 そこで、水と食べ物を与えて様子を見るのじゃ」


「わかった」


 サーシャはイノシシの子供を抱えた。

 ヴィーヴルはサーシャの肩に手を乗せて、瞬間移動で森の家へと移動した。


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