09 新たな魔道具の作成(4)
その晩、サーシャとの遊びにすっかり疲れてしまったヴィーヴルは……
(もう、眠くなってしまったのじゃ……結果は明日、確認するのじゃ……)
人型から元の龍の姿へと戻り、洞窟の片隅で丸くなって眠りについた。
疲れの為か、寝つきは非常に良いものだった。
『ヴィーヴル、ごめんなさいね……』
『お母さん……』
『ヴィーヴル、ごめんなさいね……』
夢に出てきた龍の雌は謝るばかりだった。
それが、自分を置いて行ったことに対する謝罪なのかは分からない。
ただ、ヴィーヴルとしては謝って欲しくは無かった。
自分の事を何時までも心残りとするのは悲しかった。
ヴィーヴルは目が覚めた。
目元には涙の跡があった。
(お母さんに謝って欲しいわけではないのじゃ。
お母さんが悪いわけではないのじゃ)
夜はまだ明けてはいなかった。
しかし、再び寝るには中途半端な時間だと思われる。
ヴィーヴルは涙の跡を拭った。
(結果の確認を行うのじゃ……)
ヴィーヴルは人型へと変化し、3つの箱へと近づいた。
龍の姿の方で居る方が強大な魔力を扱うことが出来るのだが、細かいものを扱うには人型の方が向いている。
と言うよりは、龍型のままでは細かい力の制御が難しくて、小さな箱ぐらいならばすぐに壊してしまうのだ。
(さて、どうなっているのじゃ?)
始めに鱗で囲う形にした箱を開ける。
開けた途端に、中を満たしていた魔力が霧散していくのが分かった。
(魔力が無くなってしまったと言うことは、逆に言えばそれまでは魔力で満たされていた、魔力が溜められていたという事なのじゃ)
次に、木の皮で編んだ箱、サーシャと作った木の箱を開けていく。
この2つは僅かばかりの魔力があったようだが、蓋を開けた途端に魔力は霧散した。
(鱗を張り付けた箱が魔力を多く留めていた様なのじゃ。
血を入れて周りに鱗を張り付ければ、魔力で満たせるようなのじゃ)
魔道具は何らかのものに蓄えられた魔力を使う事により、魔法を行使することが出来る。
使われた分の魔力を補充することが出来れば、その魔道具はずっと使うことが出来るはずだ。
魔道具の中に龍の血を入れ、周りを鱗で囲えばその中は魔力で満たされていた。
と言うことは、その魔力を魔道具に入れられる魔法を組めば魔力を補充できると思われる。
複数の魔法を魔道具に組み込めるのだから、何かのきっかけで使う魔法を切り替えられれば良いだろう。
ヴィーヴルの頭の中にしかなかった魔道具が、段々と現実のものとなっていった。




