08 新たな魔道具の作成(3)
魔力がすぐに無くなっていくと言うことは、血には魔力を蓄積する能力は無いと言う事を示している。
蓄える能力があるのならば、自然に無くなって行くことは無いはずなのだから。
蓄える力は無いのに、少しの魔力が残されている。
ここで、ヴィーヴルは仮説を立てて考えてみた。
血には魔力を作り出す力があるのではないか? ただ、蓄える力はないので、作った傍から消えてなくなってしまう。
今のところは、作り出す魔力より消えてなくなる魔力の方が多いので、血には僅かばかりの魔力が残っているように見えるのではないか? と……
もし、そうであるのならば、今の己がなぜ魔力を保てているのか? 血で作られた魔力はどうして消えてなくならないのか?
(何かで囲えば、魔力は消えてなくならないのじゃ?)
ヴィーヴルは、抜け落ちた鱗で作った箱状のもの、木の皮で編んで作った箱、サーシャと一緒に作った木の箱の中それぞれに、血を1滴ずつ垂らしてみる。
(明日の夜まで待ってみて、差が出るかどうか確認するのじゃ)
箱はそのままに、ヴィーヴルはサーシャから分けて貰った水晶をストレージより取り出した。
そして、水晶に魔力を注ぎ込み、水晶を通して魔法を発動させた。
(同じ綺麗な石でも、表面が綺麗な方がより魔法の威力が高い様なのじゃ。
表面が綺麗な石を選んだ方が、良さそうなのじゃ)
ヴィーヴルはストレージから出した水晶の選別作業を始めた。
水晶を目に近づけたり、遠ざけたりして、より表面が綺麗なものを選別していく。
3つにまで絞り込んだものの、そこからは優劣が付け難い状態になっていた。
そうこうしている内に、外は明るくなってきていた。
(う~ん、綺麗な石は、今回は2つで良いのじゃ……今日、帰ってきたらゆっくり決めるのじゃ……)
ヴィーヴルはその他の石をストレージへと仕舞い込み、サーシャの家へと瞬間移動した。
「おはよう、ヴィーヴルちゃん」
「サーシャちゃん、おはようなのじゃ」
「まどうぐ、できた?」
「いいや、まだなのじゃ。
それで、これは使わないので返すのじゃ」
「うん、それじゃ、しまいにいこうか~」
「分かったのじゃ」
2人は手を繋いで、森の家へと歩いて行き、ヴィーヴルの選別から漏れた水晶を森の家の宝箱の中へと仕舞い込んだ。
「魔道具にするには、表面が綺麗な方が良いものが出来るようなのじゃ」
「そうなんだ~、わたしたちできれいにできないかな?」
「違う石で擦り合せても、却って汚くなってしまったのじゃ」
「そっか~……」
「今のところは、出来る限り綺麗な石を見つけるしかないのじゃ」
「そうだね~」
この後、2人は洞窟へと瞬間移動で移動して、探検と称した綺麗な石探しを行った。




