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ある龍の物語  作者: まっこ
第1章 誕生
40/344

40 決行

(難しく考えるのは止めましょう。

 突然現れた龍が暴れ狂い、最後には死んだ……これで十分でしょう)


 自我を保っていない状態で暴れれば良いのだから、結界の中で変化を解いて暴れ回る方が不自然だ。

 龍の状態で現れて、結界を破り暴れ回るだけで良いのだから……


 但し、結界を破る場所は見極める必要がありそうだ。

 龍の雄が結界を壊し、新たに張りなおされた部分は多少強化されていた。

 破ろうと思えば破れると思うのだが、少しでも魔力は温存したい。

 少しでも多く暴れ回り、少しでも多く損害を与えたい。


(この辺で良いかしら?)


 龍の雄が結界を破ったために新たに結界を張りなおした部分と、古い結界の丁度境目辺りの所へ目を付けた。

 結界の繋ぎ目が、他の部分と比べて多少弱くなっている様だ。


(杜撰な修復ね……まぁ、こちらとしては助かったけど……)


 龍の雌は少し後方へと移動し、変化を解いて大きく顔を上げた。

 大きく息を吸い込み、一呼吸置くと大きく息を吐いた。

 ただの大きな呼吸ではなく、ブレスとして結界へとぶつける。


 そのブレスは、結界を大きく破壊した。

 その奥の街を守る壁も破壊する。

 丁度、龍の雌がそのままの状態で通ることが出来る大きさで……


「ドラゴンだ、ドラゴンが現れたぞ」

「何で、今まで分からなかったんだ?」

「騎士団を緊急招集するんだ」


 龍の雌が結界の中へと進むと、そこではパニックが発生していた。

 逃げ惑う民衆、騎士団を呼びに行く伝令、手元にあったであろう武器や防具を装備して此方へと向かってくる兵士達。

 それぞれの進行方向が交錯して、思うように進めない様だ。


(多少は一般人を巻き込むかもしれないけど、なるべく兵士だけを狙うようにしましょうか)


 向かってくる兵士らしき集団に対して尻尾を振るう。

 騎士団ならば耐えられたかもしれないが、下級であろう兵士には耐えられることが出来なかった。

 振るわれた尻尾に飛ばされて、兵士たちが空へと舞い上がる。

 逃げ遅れた一般の人も何人か巻き込まれる。


 2~3度、尻尾で周りの建物ごと人を振り飛ばした後、龍の雌は大きく顔を上げ、再びブレスの準備をする。


『そろそろ、騎士団が来るはずね』


 先ほど伝令らしい兵士が走って行った方向へとブレスを吐く。

 騎士団が万全の態勢ならばブレスも防げるだろうが、移動中で防御態勢が整っていないかも知れない。

 それならば、十分過ぎる程の先制攻撃として被害を与えられるはずだ。


 ブレスを吐いた後、騎士団が来るだろうと思われる方向へと歩みを進める。

 すると、先ほどの龍の雌の望みが叶っていないという事が分かる状態が目に飛び込んできた。

 そこには、防御態勢により守りを固めた騎士団の姿があった。


(察知されたのかしら? ううん、それはどうでもいいことだわ。

 今は暴れ回る事だけを考えましょう)


 尻尾を振り回したり、両手で迫りくる騎士を遠ざけたりしたが、多勢に無勢、徐々に龍の雌は追い詰められていく。

 段々と身体に纏わりついてくる騎士の数が増え、もう、振りほどくことも難しくなっていた。


(ここまでね……)


『ごめんなさいね』


 この『ごめんなさい』は龍の雄に対するものなのか、ヴィーヴルに対するものなのか、はたまた両者に対するものなのかは分からない。

 答えを知っているのは、龍の雌だけだ。

 龍の雌は最後の咆哮と同時に、土魔法を行使して巨大な岩を上空に作り出した。


(私、頑張ったわよね……最後まで頑張ったわよね……)


 上空から落ちてきた巨大な岩は、龍の雌と騎士達、街の一部を巻き込んで地上へと突き刺さった。


 街は数年かけて、岩を避ける様に再建された。

 ただ、今も2つの巨大な岩は地面に突き刺さっている。

 そして、これからも……


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