37 新たな魔道具(3)
「もう一回、魔力を籠めてあげれば良いのよ。
魔力が尽きてしまう前に魔力を籠めてあげれば、中に入っているものはそのままよ」
「そうなのじゃ……」
「前に素材によって籠められる魔力が違うって言ったでしょ? 覚えているかしら?」
「覚えているのじゃ。
木と石でも違うし、石でもそれぞれ違うと言っていたのじゃ」
「そうね、ただ、空間魔法と呼ばれるものは、籠められる魔力に限度がなくどれだけでも籠めることが出来るの。
そして、瞬間移動やこのストレージ何かが空間魔法って呼ばれるの。
瞬間移動だと空間を持って来る時に魔力が使われるから、沢山魔力を使えば遠くの場所を持ってくることが出来る。
ストレージなら、より多くのものをより長い間入れておくことが出来る様になるのよ」
「そうなのじゃ? じゃあ、今度は沢山、魔力を籠めるのじゃ」
ヴィーヴルは今、魔道具とした自作の籠に再び魔力を籠めた。
序に、ストレージの容量も大きくしながら……
「終わったのじゃ」
龍の雌は、ヴィーヴルの手にあるストレージを確かめてみる。
「うん、良くできているわ。
ずっと長い間、魔力を追加しなくても使えそうね」
「上手く行ったのじゃ」
「じゃあ、サーシャちゃんの籠も魔道具にしてあげなさい」
「分かったのじゃ。
サーシャちゃん、籠を貸して欲しいのじゃ」
「はい、ヴィーヴルちゃん」
サーシャはヴィーヴルに自作の籠を手渡す。
ヴィーヴルはサーシャから受け取った籠へ魔力を流し込み、魔道具へと変化させた。
「終わったのじゃ」
ヴィーヴルは、サーシャへ籠を返した。
「じゃあ、後はストレージの使い方だけど、これは簡単よ。
中に入っているものを思い浮かべれば、すぐに取り出せるはずよ」
その龍の雌の言葉を開始に合図とするかのように、2人は小石を拾ってそれぞれの魔道具で出し入れの練習を始めた。
2人とも勝手が分かってきた頃に、サーシャが「あ、そうだ」と声を上げ、小さな籠を作り始めた。
「どうしたのじゃ?」
「ヴィーヴルちゃんは、このかごよりすこしおおきなかごをつくってもらえる?」
「良いけど、どうするのじゃ?」
「ふっふ~、できたらおしえるよ」
そう言いながら、サーシャは籠を編んでいる。
ヴィーヴルもサーシャの言葉に従い、サーシャが作っている籠より一回り大き目の籠を編み始めた。
「あ、ヴィーヴルちゃん、取っ手は付けないでね」
「分かったのじゃ」
暫くして、サーシャの籠が編み上がった。
少し時を置いて、ヴィーヴルの作った籠も編み上がる。
「出来たのじゃ。
サーシャちゃん、教えて欲しいのじゃ」
「じゃあ、ヴィーヴルちゃんのかごをかしてもらえる?」
「?」
ヴィーヴルはサーシャに編み上がったばかりの籠を渡す。
「これで、こうするとね……」
サーシャは自身の作った籠の上に、ヴィーヴルが作った籠を被せた。
「ほら、はこになった。
これを、もりのいえのたからばこにしよ」
「分かったのじゃ」
「たくさんいれられるように、まどうぐにしてくれる?」
「勿論なのじゃ」
森の家に置く新しい魔道具が作られた。
中には2人にとっての宝物が沢山詰め込まれるのだろうか。
『モノ』だけではなく『思い出』と共に……




