34 遊びの魔道具
「じゃあ、サーシャちゃんと遊べるような魔道具を作るわね」
龍の雌は2つの箱を取り出した。
その箱に魔力を流し込み、何らかの魔道具を作り出した。
「ふぅ、できたわよ。
さぁ、1つずつ持ちなさい」
「はいなのじゃ」
「は~い」
龍の雌はサーシャとヴィーヴルに1つずつ出来上がったばかりの魔道具を渡した。
「それじゃあ、ヴィーヴル、1人で森の家に行ってみて貰えるかしら?」
「分かったのじゃ」
ヴィーヴルは、龍の雌に言われた通りに森の家へと瞬間移動で移動した。
一呼吸おいて、先ほど渡された魔道具から、サーシャの声が聞こえてきた。
「ヴィーヴルちゃん、きこえる?」
「聞こえるのじゃ。
どうして、この魔道具からサーシャちゃんの声が聞こえるのじゃ?」
龍の雌がヴィーヴルに森の家へと行くように言ったのには何らかの意図があるとは思っていた。
予想としては、サーシャがヴィーヴルのところまで瞬間移動をしてくるのではないかと考えていたため、魔道具からサーシャの声が聞こえてきた事に面食らってしまった。
「おばちゃんがいうには、こえをとどけるまどうぐなんだって」
「ヴィーヴル、此方へ戻ってらっしゃい」
龍の雌の声も魔道具から聞こえてきた。
サーシャの声だけではなく、龍の雌の声も届けることが出来る様だ。
「分かったのじゃ」
ヴィーヴルは、瞬間移動で先ほどまでいた洞窟の前へと戻って来た。
時を開けずに龍の雌とサーシャが、手を繋いでヴィーヴルの前に現れる。
「上手く行ったようね」
「お母さん、これはどうやっているのじゃ?」
「これはね、風魔法をこの魔道具に仕込んであるの。
風魔法を細い筒にして繋いでいるのよ。
風魔法を使えば声を運ぶことが出来るの」
「そうなのじゃ?」
「『つないで』っていうと、こえがとどくようになって、『きって』っていうとこえがとどかなくなるんだって」
「『繋いで』って言った方からじゃないと、切ることが出来ないけどね」
当初、龍の雌が作ろうとしていた魔道具は、一度繋いだら魔力が切れるまで繋ぎっ放しのものだった。
ところが先ほどのヴィーヴルの考えにより、任意のタイミングで繋いだり切ったりできるような機能を取り込んだ。
ただ、繋いだ方からしか切ることが出来る様にしかできなかったようではあった。
「凄いのじゃ。
これで、サーシャちゃんが家に帰った時でもお喋り出来るのじゃ」
「そうだね」
「でも、魔力が切れたらお喋りできなくなるから、ずっとは使えないわよ」
「そうだったのじゃ」
「じゃあ、たいせつにつかわないとだね」
「ヴィーヴルがその内、作り方を覚えるわよ。
そうよね?」
「そうなのじゃ。
そうすれば、何時でもお喋り出来る様になるのじゃ」
その内と言うのが近い将来だと言う事を、龍の雌は確信していた。




