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ある龍の物語  作者: まっこ
第1章 誕生
32/344

32 魔道具を作る(2)

「おばちゃん、サーシャ、ひまだよ~」


「そうねぇ……ヴィーヴル、そのお母さんが渡した小石をサーシャちゃんに渡してあげて。

 サーシャちゃん、それで魔法を使ってみてね」


「分かったのじゃ」

「わかった~」


 ヴィーヴルは母より渡された小石をサーシャへと渡した。

 そして、小石を覆う魔法の練習を続けた。


 サーシャはヴィーヴルから受け取った小石を眺めていた。


「おばちゃん、どうやったらまほうをつかえるの?」


「魔法を使いたいって思うだけで良いのよ」


「そうなんだ~」


 サーシャは小石を握りしめて、『魔法を使いたい』という念を籠めた。

 すると、サーシャの目の前に火の玉が浮いていた。


「おばちゃん、ヴィーヴルちゃん、わたしにもまほうがつかえた」


「良かったのじゃ」


「良くできたわね」


「お母さん、魔道具から魔法を発動させるためには、念じれば良いのじゃ?」


「いいえ、そうではないわ。

 この小石には発動のきっかけとして、『念じる事』にしただけなのよ。

 発動のきっかけは何でもいいのよ。

 例えば、『何かにぶつかったら発動する』とか、『ある言葉で発動する』とかね」


「成程なのじゃ」


「小石を覆っている魔法は、そのきっかけによって解除されるようにしておかないとダメよ。

 だから、魔道具は1回だけの使い捨てが基本なのよ」


 サーシャの作りだした火の玉は、暫くその場で燃えていたが徐々に小さくなり消えてしまった。

 ヴィーヴルは、その様子を眺めながら考え込んでいる。


「どうしたの? ヴィーヴル?」


「お母さん、そのきっかけで再び魔道具を覆うようにすれば、籠めた魔力が無くなるまで何度も使える様にならないのじゃ?」


 龍の雌は目を見開いた。

 確かに魔道具とするものには複数の魔法を籠めることが出来る。

 解除の魔法を籠められるのならば、再び魔道具を覆う魔法を籠めることも可能だろう。

 龍族は自身の魔力は膨大に持っているのだから、魔道具に頼る必要は無い。

 ヴィーヴルに教えたのも、知識として覚えておいて欲しいと思っただけだった。


「ちょっと待ってね」


 龍の雌は足元に落ちていた小石を拾い上げ、火の玉の魔道具にした。

 ただし、サーシャの手元にある魔道具とは違い、3つの魔法が籠められたものだ。


「サーシャちゃん、これを使ってみてもらえる? 魔法を使いたい時は『火の玉』って言ってね。

 そして、消したい時には『消えて』と言ってちょうだい」


「わかった~」


 サーシャは龍の雌から新しい小石を受け取ると、「ひのたま」と叫んだ。

 サーシャの目の前には、再び火の玉が浮かんでいた。

 一呼吸置いた後、続けて「きえて」と叫ぶと、火の玉は音もなく消えた。


「おもしろ~い」


 サーシャは再び「ひのたま」と叫ぶと、目の前には火の玉が浮かび、「きえて」と言うと火の玉が消え……と何回か繰り返した後、「ひのたま」と言っても何も起こらなくなった。


「籠めた魔力が無くなったようね。

 でも、使い捨てではない魔道具が出来たわ。

 ヴィーヴル、良く思いついたわね」


 ヴィーヴルは満面の笑みを浮かべていた。

 龍の雌は、そんなヴィーヴルの頭を優しく撫でていた。


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