30 遊びはいつも通り
「ヴィーヴルちゃん、きょうもどうくつのなかをたんけんしよっ」
「分かったのじゃ」
ヴィーヴルとサーシャは、今日も洞窟の奥へと続く通路を入って行き、鉱石などを探していた。
最近は通路の途中からヴィーヴルの魔法で洞窟の壁を少しずつ壊して、砕けた瓦礫の中から探し出すという作業を続けていた。
その中からより綺麗な、より光り輝くものを選抜して森の家へと持って行き、そこで更に選抜して……と、より良いものを森の家へと隠していた。
集められた鉱石は、何をするでもなく眺めているだけだったのだが、2人はそれで満足していた。
2人で一緒に宝探しをして、2人で森の家へ隠す……2人で同じことをして、2人で共通の秘密を持つという事に意味があるのだろう。
ところが、今日は少し勝手が違っていた。
ヴィーヴルが壊した壁から、大量のしかも大きなミスリルやオリハルコンの塊が出てきた。
どうやら、偶然ながら鉱脈を掘り当ててしまったようだ。
「ヴィーヴルちゃん、なんかいっぱいでてきたよ」
「そうなのじゃ。
これはどうすれば良いのじゃ?」
「こんなにたくさん、もりのいえにもっていけないしね~」
「それに、こんなにあるのでは、集めようという気も無くなるのじゃ」
「そうだね~。
いままではちいさかったからかわいいとおもったけど、こんなにおおきかったらかわいくないよね」
2人は大量のミスリルやオリハルコンの鉱石の前に、呆然と立ち竦んだ。
ドワーフが見たら泣いて喜ぶ光景なのだが、2人にはその価値が分かっていない。
綺麗で可愛いと思ったから集めていただけで、武器や防具を作ろうという発想がないのだから仕方がない。
「ヴィーヴルちゃん、どうする?」
「う~ん、これを集めるのは止めるのじゃ。
今からは、あの透明な奴だけにするのじゃ。
あれは小さいのしか見つかっていないのじゃ」
透明なやつ……この洞窟ではあまり見つかっていない水晶の事だった。
今まで見つかった水晶のかけらは殆どなく、ミスリルやオリハルコンよりもヴィーヴルとサーシャにとっては貴重なものだった。
「でも、あれもおおきいのをみつけたらどうする?」
「その時は……その時に考えれば良いのじゃ」
「……うん、そうだね。
じゃあ、いまから、とうめいなやつをさがそっか」
「分かったのじゃ。
では、あっちの方へ行ってみるのじゃ」
「うん、いこ~」
2人は連れ立って他の場所へと移動した。
「この辺でやってみるのじゃ」
「うん、おねがいね」
ヴィーヴルが魔法で壁を崩す……瓦礫を見てみると、またミスリルやオリハルコンの塊が大量に含まれていた。
しかし、水晶らしきものは見当たらない。
そうやって2人は日がな一日、遊んでいた。




