15 気分は徹夜
「つぎは、これを読もう」
「分かったのじゃ」
ヴィーヴルはサーシャが持ってきた本を一緒に読んでいた。
日が暮れて、小袋に仕舞ってあった肉を焼いて食べた後から今まで、ずっと読書が続いている。
「きょうは、ずっとえほんをよもうね」
サーシャが沢山の絵本を抱えて、家に入って来た時に言った言葉だ。
「ダメよ、遅くまで起きていたら、明日遊べなくなるわよ」
「いちにちくらい、だいじょうぶだよ」
「そう? それなら良いけど」
ヴィーヴルは大丈夫だろうが、サーシャは無理だと思われる。
龍族は睡眠により魔力の回復が行われる。
だが、魔力の制御が出来る様になった今のヴィーヴルにとっては、2~3日ならば睡眠なしでも問題はない。
しかし、人間であるサーシャは話が違う。
人間には睡眠が必要だと聞いてるし、年齢が低ければ低い程必要だとも聞いている。
(まぁ、水遊びをして疲れているだろうから、眠るかも知れないわね……ヴィーヴルも眠ってしまうかも知れないわね……)
龍の雌は、サーシャのやりたいようにしておくことにした。
今は、ずっとヴィーヴルと一緒に居られることが嬉しくて仕方がないだけだろう。
「つぎはこれね」
「分かったのじゃ」
サーシャとヴィーヴルの傍らには、本の山が積み上がっていく。
暫くして、サーシャの持ってきた本は全て読み終わってしまった。
「つぎは……」
「もう、本が無いのじゃ。
今日はもう寝るのじゃ」
「う~ん……そうだ、もういっかいよみなおそ」
「また読むのじゃ? 分かったのじゃ」
一度読み終えた本の山から本を抜き出し、2人で読み始めた。
それをもう一度繰り返した所で、サーシャは力尽き、うつぶせの状態で寝ていた。
「お母さん、サーシャちゃんが寝てしまったのじゃ」
「あらあら、じゃあ、そっちに行くわね」
龍の雌は2人の傍へと座り、寝てしまったサーシャの頭を自分の膝の上へと乗せた。
ヴィーヴルはその様子を見て、俯きながら……「お母さん、その、妾も良いのじゃ?」と聞いた。
龍の雌は笑みを浮かべたまま、手招きをしてヴィーヴルを呼びよせた。
ヴィーヴルは笑顔を浮かべたまま、母親の膝の上へと頭を乗せた。
「変化魔法が解除されそうになったら起こしてあげるから、寝ても良いわよ」
「ありがとうなのじゃ」
ヴィーヴルは静かに目を閉じた。




