14 魚取り
火を熾した雌の龍は、子供たちが遊んでいる場所から少し川下の、浅くなっているところへ移動した。
(この辺で良いかしら?)
魔法で石を動かして川の一部を四角く区切り、生け簀のような感じにした。
その生け簀の中には、数匹の魚影が見える。
「ヴィーヴル、サーシャちゃん。
こちらにいらっしゃい」
「は~い」
「今行くのじゃ」
サーシャとヴィーヴルは、雌の龍の下へと駆けつけた。
「この中に魚が居るから捕まえてちょうだい。
捕まえた魚を焼いて食べましょうか」
「は~い、ヴィーヴルちゃん、がんばろ~」
「わた……妾の方が捕まえるのじゃ」
「わたしだって、まけないよっ」
サーシャとヴィーヴルは泳いでいる魚を捕まえようと、一生懸命に追いかけている。
それを雌の龍は微笑みながら見つめている。
その間も、魔力の放出による動物や魔物への警戒は怠らない。
「やった~、つかまえた~」
サーシャが1匹の川魚を捕まえた。
「わた……妾だって、すぐに捕まえるのじゃ」
「ヴィーヴルちゃんがつかまえるまえに、わたしがまたつかまえるもん。
はい、おばちゃん」
「はい、捕まえられて偉いわね。
次も頑張ってね」
「うん」
サーシャは再び魚を捕まえに行った。
(確か、人間は魚のはらわたは食べないのよね?)
雌の龍はサーシャが捕まえてきた川魚に、小さなしかし魔力の密度を高めた風魔法を当てて、魚の腹を割いた。
そして、はらわたを取り出して、川の水で洗ったあと、小枝に魚を挿して焼ける状態にした。
「捕まえたのじゃ」
そうこうしている内に、ヴィーヴルが魚を捕まえたようだ。
「これで同じになったのじゃ」
「じゅんばんなら、つぎはわたしだね」
「順番通りに行くとは限らないのじゃ。
はい、お母さん」
「はい、ヴィーヴルも良く捕まえられたわね。
次も頑張るのよ」
「はいなのじゃ」
ヴィーヴルも次の魚を捕まえに走って戻った。
(1人1匹もあれば良いでしょうね……)
「ヴィーヴル、サーシャちゃん、次の魚を最後にするわよ。
捕まえた方が勝ちね」
「よ~し、がんばるぞ~」
「負けないのじゃ」
2人は懸命に魚を追いかけていた。
その後、暫くしてサーシャが川魚を捕まえたことにより、サーシャの勝利で勝負の幕は下りた。
雌の龍が最後の魚を捌いた後、焚き火の下へと移動してサーシャとヴィーヴルが捕まえた魚を焼いて食べた。
「また、遊びに来ましょうね」
「うん」
「はいなのじゃ」
サーシャとヴィーヴルは、溢れんばかりの笑みと共に答えた。




