13 友達との水遊び
「ヴィーヴル、サーシャちゃん、川へ行って水浴びをしましょうか」
「ほんと、やった~」
「やった~、なのじゃ」
両手に子供の手を引いてなので、それ程早くは移動できない。
そうなると、動物や魔物と出会う確率は高くなってしまう。
ヴィーヴルだけならば守るのは容易だが、サーシャもとなると話は別だ、万が一と言うこともある。
それならば、出会さない方が賢明だろう。
雌の龍は魔力を多めに込めて、周りへ発散する。
こうすれば、魔力に中てられた動物や魔物は逃げて行ってしまう。
動物や魔物たちは『自分より強い』ものへと、無駄には挑戦したりしないからだ。
そうして、雌の龍は2人を連れて森の外れにある川まで、何事もなくやって来ることが出来た。
「かわだ~」
「うん、そうなのじゃ」
「おばちゃん、はいってい~い?」
「川に入る前に、この位の大きさの石を沢山、ここまで持ってきてもらえるかしら?」
足元にあった握りこぶし程の大きさを拾い上げて、ヴィーヴルとサーシャに伝えた。
「いいよ~」
「ヴィーヴルも、魔法で集めてはダメよ。
ちゃんと自分で集めてきてね」
「分かったのじゃ」
「私はちょっと森の中に入って、焚き木になりそうなものを集めて来るからね」
「は~い、いってらっしゃ~い」
「いってらっしゃいなのじゃ」
雌の龍は森の中へと姿を消した。
「じゃあヴィーヴルちゃん、どっちがおおくあつめられるかきょうそうね」
「負けないのじゃ」
ヴィーヴルとサーシャは、先ほど雌の龍が見せた大きさぐらいの石を拾い集めて、元の場所にそれぞれの石の山を築き上げていった。
始めは少し盛り上がった程度の山だったが、次第に石の山は大きくなっていき、雌の龍が焚き木を集めて帰ってきた頃には、ひざ下位までの山となっていた。
「2人とも、沢山集めたわね。
良くできました」
2人は少し息が弾んでいたものの、雌の龍に褒められたことによって満面の笑みを浮かべた。
「さぁ、水浴びに行って良いわよ。
服を脱いで行ってらっしゃい」
「やった~、ヴィーヴルちゃん、いこ~」
サーシャは服を脱ぎ捨てて、すぐに裸になった。
「ヴィーヴルもサーシャちゃんと同じような感じになるように、変化魔法を使いなさい。
こんな風にね」とヴィーヴルに小声で伝え、雌の龍も魔法で裸に化けた。
「うん、分かったのじゃ」
ヴィーヴルは変化の魔法により、裸に化けた。
「ヴィーヴルちゃん、はやく~」
待ちきれなかったサーシャは、一足先に川に入ってヴィーヴルを呼んでいた。
「分かったのじゃ。
今、行くのじゃ」
サーシャの呼びかけにヴィーヴルも答えて、川へと駆けだしていった。
「あまり深い所に行っちゃダメよ」
「は~い」
「はいなのじゃ」
龍の雌は返事を聞くと、ヴィーヴル達が集めた石を組んで竃を作り火を熾した。
水遊びで冷え切った子供達の身体を温めるために……




