表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある龍の物語  作者: まっこ
第1章 誕生
12/344

12 異変

「おと~さん、おかえりなさい」


「ただいま、サーシャ」


 狩人の男が、狩りを終えて帰って来た。

 しかし、両手に獲物の姿は見られない。

 ここ数日、狩人が獲物を捕られていないようだ。


「ちょっと話があるんだが、良いだろうか? 2人きりで話したいのだが……」


「構いませんよ。

 ヴィーヴル、サーシャちゃんと家の中で遊んでもらえるかしら?」


「分かったのじゃ。

 サーシャちゃん、私の家に行くのじゃ」


「わたしじゃなくて、わらわでしょ? いこ、ヴィーヴルちゃん」


「そうだったのじゃ……」


 ヴィーヴルはサーシャに手を引かれて、ヴィーヴルが作った家の中へと姿を消した。


「どうしたんだ? あの口調は?」


「どうやら、お姫様ごっこらしいですが……サーシャちゃんがすっかりその気のようです。

 それで、お話と言うのは何でしょう?」


「あぁ、話と言うのは他でもない。

 最近、森の様子がおかしいようで、魔物が多くて猟が思うように行かないんだ」


「そうですか、それで、私達に食料でも分けて欲しいという事でしょうか?」


「俺も狩人だ。

 自分の食い扶持ぐらい、自分で稼ぐ。

 相談と言うのは、明日から少し足を延ばしてみようと思う。

 その間、サーシャの事を頼んでも良いだろうか? 勿論、あんた達の事は口外しない」


「分かりました。

 それ位なら良いですよ。

 ヴィーヴルとの仲も良いようですし、問題なさそうですから」


「恩に着る。

 ところで、あんた達の食糧は大丈夫なのか? サーシャたちの面倒を見ていて、猟をしている暇は無いように思えるが?」


「何日か置きに、夜に仕掛けに掛かっているものを取りに行くだけですから、何の問題もありませんよ」


 この様な問い掛けに対して答えに窮することが無いよう、近くに罠として落とし穴を仕掛けてはいる。

 偶に獲物が掛かっていることはあるが、雌の龍やヴィーヴルに食料は不要なので腰に下げた袋の中へと入れているだけだ。

 だから、もし狩人が『食料を分けてくれないか?』と問われても、渡しても問題にはならない。

 ただ、この狩人は決してその様な事を言わない。

 狩人としての矜持が優先しているのだろう。


(サーシャちゃんが困った時には、どちらを優先するのかしら?)


 雌の龍はふとそんなことを考えた。

 自分ならば、優先すべきはヴィーヴルである。

 それこそ、自分を投げ打ってでも優先すべき事柄である。

 狩人の男は、狩人としての矜持とサーシャの事を天秤に掛ける場合が来た時に、果たしてどちらを取るのだろうか?


「それじゃあ、サーシャちゃんに話してくるわ。

 貴方が帰ってくるまでは、こちらで預からせてもらうわ」


「済まない」


 家の中へと戻り、サーシャに明日から暫くの間、夜はこちらで過ごすことを伝えた。

 サーシャは喜び、飛び跳ねるかのように自分の家へと帰って行った。


「ヴィーヴル、明日からサーシャちゃんがいる間はそのままの姿で居るのよ、大丈夫?」


「大丈夫なのじゃ……あ、サーシャちゃんは帰ったんだ」


「良いわよ、私との時でもそのままで。

 サーシャちゃんに注意されちゃうでしょ?」


 そう言って、雌の龍は微笑んでいた。


「あと、明日から暫くの間は食事をするわよ。

 サーシャちゃんは食事をしないといけないから、一緒に食事をするのよ」


「分かった……のじゃ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ