22 ゴブリンのお願い
『ヴィーヴル、長老とも話してみたのだが……お願いがあるのだが、聞いて貰えるだろうか?』
「内容によるのじゃ。
妾にだって、できないこともあるのじゃ」
『まぁ、そうだな……
頼みというのは、村の真ん中に少し大きめの穴を掘って欲しいんだ』
「そんなところに穴を掘るのじゃ? 村の真ん中に落とし穴でも作るのじゃ?」
『流石に村の中に罠は作らん。
水を入れて、水場にできないかと思ってな』
ヴィーヴルが穴を開けて、その中に水を入れると言うことだろう。
「穴を作るぐらいならば、直ぐに出来るのじゃ」
『では、お願いするよ』
「でも、水はどうするのじゃ? 妾が居るうちは満たしても良いのじゃ。
しかし、妾も何時までもここに居るわけではないのじゃ。
居なくなった後、暫くすると水が無くなってしまうのじゃ」
『最初の水だけお願いできるか? その後は、俺たちが持ってくるから大丈夫だ』
「持ってくる?」
『あぁ、少し先に小さい湖があるから、そこから運ぶようにするんだ』
「その湖と穴を繋げれば、汲みに行かなくても良いのじゃ」
『湖の方が低いと思うから、無理だな。
水は高いところから低いところへと流れるんだ』
「ならば、湖の近くで暮らせば良いのじゃ? そうすれば、水を汲みに行かなくても良くなるのじゃ」
『湖の傍に住む? それは無理だ』
「どうしてなのじゃ?」
『何時でも人間や動物、他の魔物から狙われる環境で生活なんてできない。
隠してくれるものが何もないから、どうしても目につきやすい。
多少不便でも、ゴブリンはこういう場所で隠れながら住んでいる方が楽なんだ』
「戦いになるぐらいなら隠れて住んでいた方が楽だという気持ちなのは、分かるのじゃ」
『心当たりがあるのか?』
「妾も、少し前まで隠れて暮らしていたのじゃ」
『そうか……』
「それで、何故、今になって突然そんな話になったのじゃ?」
『罠の落とし穴に水魔法で水を入れて貰っただろ? それを長老に話したら、村に水場ができないか? という話になったんだ』
「今まで、水はどうしておったのじゃ?」
『湖まで行って飲んでいた。
動くのが難しくなった者達は、動けるものが汲んできた水を飲んでいた』
「動くのが難しくなった者たちの分ということなのじゃ?」
『それもある。
まぁ、水が飲みたくなった時に、態々、湖まで行かずとも飲みたいだろ?』
「それはそうなのじゃ。
では、穴を開ける場所を教えて貰えたら開けるのじゃ。
何処が良いのじゃ?」
『あぁ、こっちだ』
ヴィーヴルとリーダーは村の真ん中へと移動した。
そこは広場としていたのだが、要は空き地だ。
何を作るか決めていなかったので、そのまま使われていなかった場所だ。
今となっては、水場として最適だと思われる場所だ。
ヴィーヴルはそこに穴を作った。
そして、穴の中へ水魔法で作り出した水を満たした。
暫くすると、地面が水を吸い込んだのか水嵩が低くなっていたので、水を追加しておいた。
『すごく助かったよ。
ありがとう』




