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ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
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21 村の周りの罠(4)

『力の無いものでも作れる罠も、あちらの方に作ってあるぞ』


「それも見せて欲しいのじゃ」


 ヴィーヴルとリーダーは、先程とはちょうど村の反対側にやって来た。

 そこには、子供のゴブリンがしゃがみこんで何か作業をしていた。


『子供にも作れる罠を作っている』


「子供にも作れるのじゃ?」


『あぁ、身体的には大して効果はないだろう。

 だけど、地味だが嫌がらせとしては効果的だ』


「それは面白そうなのじゃ」


 何かを作っているゴブリンの子供の下へと近づく。

 ゴブリンの子供は草を両手に掴み、その掴んだ草で結び目を作っていた。


「草を結んでいるだけなのじゃ。

 これが、罠になるのじゃ?」


『それでは、試しにあちらの木の下まで歩いてみろ。

 そうすれば、どれだけ嫌なことか実感できるぞ』


「分かったのじゃ」


 ヴィーヴルは、リーダーに言われた木の下まで歩き始めた。

 1歩目こそは何の問題もなかったが、2歩目は草に足をとられて転びそうになり、3歩目以降は足を引っ掛けない様にするため、俯いて足先を確認しながら歩かなければいけない羽目になってしまった。


(これは、思っている以上に大変なのじゃ……)


 暫くして、木の下まで到着した。

 息こそは上がっていないものの、普段より多くの時間が掛かってしまった。

 また、精神的にはかなり削らされたように感じた。


「これは、嫌な罠なのじゃ。

 足元への注意を必要以上にしなければいけないのじゃ」


『簡単な割には、効果的なんだ』


 ヴィーヴルは文字通り飛んでリーダーの前に帰ってきた。


『ヴィーヴルには意味が無いようだがな……』


「もう一度、体験する気はないのじゃ」


『飛んで帰ってきて貰って良かったよ。

 火魔法で焼き払われたら、どうしようかと思ったぞ』


「近くで作っているのに、それを目の前で無かったことにするようなことはしないのじゃ。

 そんなことをしたら、2度と一緒に遊べなくなるのじゃ」


『そうかも知れないな……』


「しかし、これだけ村の周りを罠だらけにしてしまうと、村の者も罠を避けるのに大変なのじゃ?」


『罠がなかったために、村が危ない目に遭うよりは良いだろ。

 全ての危険から避けられる、という訳ではないだろう。

 だが、1つでも危険を遠ざけられたのなら、作った甲斐があったというものだ」


「成る程なのじゃ」


『何回かの危機があって、その全てを避けるために罠を張る訳じゃない。

 勿論、全部防げればその方が良いというのは間違いない。

 だけど、1回防げなかったから失敗だった、無駄だったと言うものではないんだ』


 完全だけを求める、というつもりはない様子だった。


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