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ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
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20 村の周りの罠(3)

『こっちには、もっと面白い罠があるぞ』


「どんなものなのじゃ?」


『上手く掛かれば、無傷では済まないぞ』


「それは、楽しみなのじゃ」


 リーダーが指し示す方向へと、再び歩き始めた。

 先程、落とし穴に落ちていたイノシシは、村への土産として止めを刺した後、首を落として木の枝に逆さに吊るしておいた。


 人間の時は、こうやって、血抜きをした方が美味しく感じたらしい。

 ゴブリンとなった今では味覚を殆ど感じられないため大して変わらない、却って、血の味をより感じられる分、血抜きをするのは手間でしかない。


 だが、その手間でしかない血抜きをするのには、きちんと理由がある。

 以前、血抜きをしていない動物を捕まえて村まで運んだ時に、血の跡か臭いのどちらかまたは両方を嗅ぎ付けられたようで、クマが村まで来てしまったことがあったそうだ。

 それで、多少手間が掛かっても、血抜きをした後に村に運ぼうと決まった。


 話しを戻して、リーダーと共にやって来たところには、一見、何の罠もないように見えた。

 動物や人間が、罠に掛かっている様子もない。


「何もないようなのじゃ」


『もう少し先だ……そう、そこの足元をよく見てみろ』


 リーダーが指したその場所には、不自然に蔦が輪になっているものが落ちていた。


「これは何なのじゃ?」


『そこへ足を踏み入れたなら、足首を取り逆さ釣りにする罠だよ』


「罠に掛かっているところを見たかったのじゃ」


『そこに足を踏み入れなければ、発動しない罠だからな。

 落とし穴のように大きく作れないから、罠にも掛かりにくくなる』


「それならば、沢山作れば良いのじゃ」


『そうすると、罠があることが分かってしまう。

 少ししかないから、分かり難いんだ。

 それに、罠を作れる場所にも条件がある。

 何処にでも作れる訳じゃないんだ』


「そういうものなのじゃ?」


『あぁ、跳ね上げる柔らかい木が必要だし、長い蔦も必要だ。

 それに、この罠を仕掛けるためには力が必要になる。

 他のゴブリンと一緒に来ている時じゃないと作れないんだ。

 だから、狩りに来た時に序でに作るんだ』


「1人では作れないのじゃ?」


『冒険者の時は1人でも作れたんだが、ゴブリンの身体だと無理だ。

 身体の大きさ、筋肉量が違いすぎる。

 どうやっても人間ほどの力は出せない。

 戦闘については戦い方を工夫すれば何とかなるが、自力が必要になる場面では誤魔化しようがないんだ』


「それを補おうとしたら、数で押しきるということなのじゃ?」


『あぁ、そういうことだ』


 個々の力が弱いものが数が多い理由は、案外、そう言うことなのかもしれない。

 ヴィーヴルには、目に見えない何らかの力が働いて、全体のバランスが取られているのではないかと感じた。


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