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役立たずだから『ざまぁ』なんて出来ない・・と思ったか

掲載日:2020/06/01

仲間に裏切られたらどうする?パーティーメンバーに殺されかかったアルフの話。

 @短編その15


ほぼ毎日1編書いてる。いつまで続くか限界に挑戦中。


「ちょっと!!アルフ!!なんでガツンと言ってやらないの!!」

「・・・・・・」


僕は踵を返し、スタスタと歩き出す。ニヤニヤとあいつらは笑っている。


「やれやれ!やっとお荷物野郎が減ったぜ!」

「本当!やっぱりあなたの方が頼り甲斐もあるし!」

「バイバーイ!役立たずさーーん!」


ファインはあいつらをキッと睨み、僕に追いついて隣に並ぶ。


「なんで言ってやらないの!!あいつらが悪いんだよ?」


何故か彼女がグスグスとべそを掻いていて、とうとう静かに泣き出した。


「ファイン・・君が泣く事ないよ?君、関係ないじゃない」

「あんたが泣けないから!!あたしが泣いてやるんでしょ!!バカアルフ!!」

「困ったな・・泣かないで、ね?ファイン」

「このへたれ!!いうべき時に言わないと、あいつら反省しないでしょ!!」

「ファインは優しいなぁ・・」

「優しくないっ!!優しいのはアルフだから!!あんな奴らに何も言わないんだから・・」

「そんな事言ってくれるのは、ファインだけだよ」

「だって!!あいつら・・悔しくって悔しくって!!アルフのバカァ・・」


反省、か。そんな謙虚な気持ち、あいつらにあるものか。

泣いて土下座したって、赦さない。反省なんかさせるものか。

これまでだって、十分に反省する時間はあったんだから。

それもこれまで。まあ、反省する猶予なんか無いだろうけど。

今僕は、パーティーを追い出されたのだ。



この揉め事の内容は簡単だ。


僕はあいつらとパーティーを組んでいた。

その中には僕の恋人もいた。

だけどいつの間にか、彼女はパーティーのリーダーに乗り換えた。

しかも僕を嵌めて、ダンジョンで殺そうとした。

丁度友人のパーティーが通り掛かって、僕を助けてくれた。

そのメンバーのひとりが、このファインだった。

僕を殴って動けなくして、置いて行った事を知った彼らは、あいつらの後を追う。

あいつらがギルド到着前に追いついて、ファインが物凄い勢いで怒鳴ったんだ。


・・・ああ、残念。

あのままギルドに『僕が死んだ』報告をしてから、僕登場!!とした方が良かったんだけど。

まあ、この件はファインも、ファインのパーティーのメンバーも怒っていたし、僕は彼らに『助けられた』んだから文句は言うまい。


「あんな事をするなんて!メンバーを、しかもダンジョンに置いていくなんて外道のする事!!これからもそういう輩が出たら困る!ちゃんとギルドに厳重に処罰を頼もう!」


ファインのパーティーリーダーが、一緒にギルドに行って告訴してくれるそうだ。

ああ、ありがたい。是非お願いしよう。正直ありがた迷惑だが、善意を不意にするつもりは無い。

ま、あいつらはここにくる事はない。多分逃亡するだろう。


「でも!!アルフは人が良すぎだよ!!アイテム袋・ミニをあげちゃうなんて!」


アイテム袋・・魔導アイテムだ。袋は小ぶりな巾着だが、縦横奥行が5メートルくらいの物が入る。


「これはこのパーティーの所有物だ。返して貰うぜ」


俺を殴り、朦朧としているところで、あいつはそう言って持って行った。

いや、これは俺がコツコツ貯めた金で買ったモノだ。だが良いんだ、これで。

このアイテム袋を買う時、ファインも店にいたから覚えていたようだ。

あいつらのひとりが腰にぶら下げていたからな。



あいつらは俺を『役立たず、お荷物は荷物持ちで良いんだよ』と言っていた。

最初は庇ってくれていた恋人も、いつの間にかあいつの隣が定位置になっていた。

そしてあいつらに混ざって、俺を侮辱するようになっていた。


「何よ、あの子!!アルフの恋人だったくせに!!信じられない!!」


まだグスグス泣いている。ファイン、君はいつもそうだ。僕のために怒ってくれる・・

最初は鬱陶しいとか、面倒なやつとか思っていたんだ。

だがこうも人の悪意に塗れると、彼女の優しさ、純粋さが心に染み渡るのだ。


今の僕の心の中を、決してファインに知られたくない。

僕は今からあいつらを・・処刑するからだ。


これから僕とファイン、そしてファインのパーティーメンバーはギルドに行く。

そしてあいつらの悪事を、ギルドに告発するのだ。

・・これで僕のアリバイは成立だ。



実はダンジョンに潜る時、僕はあいつらを始末するつもりだったんだ。

もう耐えられなかったんだ。だから慎重に用意した。


でも先にあいつらが行動をして、ちょっと焦った。でも殺れる(やれる)、そう思った時・・

あいつらに反撃しようとしたら、丁度ファインのパーティーが通り掛かったんだ。

彼らは良い奴らだから、殺したくなかったので我慢した。


どうやってあいつらを処刑するつもりだったかというと・・


まずマジック袋。僕以外が袋を開けると、魔物が出てくるようにしておいたんだ。

オーガが仮死状態で袋に入っているんだ。オーガはタフでさ。袋の中でも生きてるんだよ。

出したら速攻生き返り、押し込められてた怒りで暴れまくるだろうとね!

更に袋のポーション・・全部毒に入れ替えてあるんだ。体が動かない程度のね。


今ギルドに行くと僕達がいるから、あいつらは逃げるために隣の国に行くのは予想済み。

さっき別れた場所は街道に近いからね。

ま、なんだかんだ言って付き合い長いから、あいつらの考えそうな事わかるんだ。


街道は、泊まれる村が2日ほど進まないと無い。だから、野宿するだろう。

あの道、夜はとても危険な所なんだ。結構魔物も出るんだ。

あいつらは、いつも僕に夜の番をさせてばかりだったから、多分忘れていると思う。


夜中に魔物と戦って怪我をするかもしれないね。そしてポーションを飲もうと袋を開ける。

急にオーガが袋から出てきたら、全然怪我をしないなんてありえない。

だってあいつら、それほど強く無いから。

ポーションを飲んだら、体が動けなくなるから、オーガに食い殺されるだろうね。

あいつらのパーティーは、まともな回復役がいないからね。

いつもポーション頼りだったし。そのポーションの用意をしてたのは僕だったんだから。

毒を検出する作業は多分しないだろう。オーガに食われた遺体を、わざわざ調べる事は無い。

仮にしたとしても、戦闘中に慌てて飲んだせいで、間違えたのだと判断されるだろう。



ああ、早く死なないかな。

もうどれだけ僕が怒りを抑え、我慢したか・・

今夜、あいつらは死ぬ。


「アルフ・・?泣いているの?」


半ベソをまだ掻いているファインが、僕の顔を見て驚いている。

泣いている?どうして・・

ああ!嬉し泣きか!


「もう・・アルフは優しすぎ!!もーー!!」


そして僕の頭をナデナデしてきた。


「こら。何してるんだ」

「アルフ、あたしがいるから!!もうあいつらなんか、忘れちゃえーー!!」


そして頭を撫でながら、


「アルフの記憶の中から、飛んでけーーー!!」


ばっと手を天へ突き上げた。太陽、そして青い空が眩しい。少しの罪悪感も、不思議と消えた。


「はは・・ファインはやることがガキくさいなぁ」

「むむ?言ったね?とぉーー!!」


ファインが僕の首に飛びついて、ぎゅうぎゅう抱き締めてくる。


「ぐぁ、締まる締まる!!」

「あ!!ごめん!!」

「殺す気か、お前・・・はぁはぁ・・」

「おーい!!早く来い!!」

「あ!!すみません!!」

「ヤンチャして困らすな、ファイン!!」

「はーい!リーダー!」


先を行っていたファインのメンバーが呼んでいる。

僕はファインと一緒に駆けていく。





さようなら、そして死ね。


僕はもうすぐいなくなるあいつらに、心の中で決別したのだった。



ほぼ毎日短編を1つ書いてます。随時加筆修正もします。

どの短編も割と良い感じの話に仕上げてますので、短編、色々読んでみてちょ。


pixivでも変な絵を描いたり話を書いておるのじゃ。

https://www.pixiv.net/users/476191

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