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覚えのないこと

 自称御神木は少女のことについて語り出した。

 一つ、少女は自分の知識の範囲内にある植物を自由に操ることができ、

 一つ、少女はどうあがいても神社から出られず、 

 一つ、自分の名前を忘れるほどに他人と会話をしていないと。

 重苦しい空気を感じながら、卓也は木が語った言葉を自分なりにかみ砕いて分かりやすい言葉に変えた。


「少女は結局何が目的なんだよ」

(外に出たい、だったら私も苦労はしない。問題はあの子は自分と一緒に呪いも封印していることだ)

「呪いって?」

(人が植物のように変わってしまうのだ)


 卓也はどうしようもない怒りが湧いてきた。なんでそんな辛い役目を少女が負わなくちゃいけないんだと。


「誰かいなかったのかよ! 少女を止める誰かが。あんな大人から比べたらまだまだ小さい女の子一人でそんな状況になるわけがないだろうが。あいつもあいつだ。何で苦しいとか言わないんだよ。俺みたいなどこにでもいそうな男でも会話ができたんだ。俺以外にもあいつと話せた奴はいなかったのかよ!」

(ただ一人、君以外にも少女から物を貰った者はいた。二十歳ぐらいの女だ。あの女も少女を助けようとした。しかしできなかった。昔の技術ではあの少女を縛っている木を切り倒せなかったのだ)


 昔、と言われて少し卓也は疑問を持った。いったいどれくらい昔の話なのだろうか、と。


「あの子はいったいどのくらいこの神社の中にいるんだ?」

(そうだな、ざっと300年間くらいかの)

「さ、300年!!」


 いくらなんでも長すぎる。というか三百歳を超えたにしては精神が幼すぎる。

 卓也が聞きたいことを先回りするように御神木は説明した。


(生き物は何でもそうだが精神年齢は肉体と環境に依存する。変化のない環境、さらに自分の見た目が変わらないともなれば精神は成長しないだろう)

「そういうものか。それなら最後に質問させてくれ。一番重要な問題だ」

(なんだ)

「どうやったら少女を神社から外に出すことができる。あいつを開放してかつ呪いを解くにはどうしたらいい」

(それは私を見つけて切り倒すことだ)


 卓也は驚いた。あっさりと答えが見つかっただけでなく、自分を切り倒せと言われたからだ。


「なぜそんな簡単なことを昔の人間はできなかった?」


 木を切り倒すだけで呪いも対策ができるなら昔のひとは簡単に取り掛かりそうだ。


(300年前と言えば江戸時代だ。重機があるわけでもなのにそうそう切り倒せるわけでもない。さらに私が見えるのは少女が居る時だけだ。一人で伐るのは不可能だろう)

「そうか、ありがとな」


 卓也はお礼を言った。昔はできなくても今の時代なら試せることはある。すぐに少女の下に向かおうとして気が付いた。


「ここどうやったら出られるの?」

(…………)

「何か言えよ!!」


 結局がもとの場所に戻れたのは体感時間で30分後ぐらいだった。


次か次の次ぐらいでおしまいです

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