第6話 秘めた能力
written:菜須よつ葉
ひな月さんの傷口を押さえ、意識を集中すると、よつ葉の手が光を帯始める──
自身の傷が瞬く間に塞がっていくのを目の当たりにし、少しだけ驚いた表情のひな月さんに対し、その光景を見ていたもう一人の人物は……。
「なっ……何だっ! 何をしやがった!」
奇跡を目撃した男に、私は一言。
「【応急処置】……これが私の……能力です」
「よ……よつ葉ちゃん」
人前で能力を使ってしまった事で、変な目で見られるんじゃないだろうか?
内心ドキドキだった。
そんな気持ちでいると……。
「ねぇねぇ! よつ葉ちゃん!! 何それ、どうなってるの?」
ひな月さんは引くどころか、興味津々な様子だった。
(……予言者って言ってたのに、ここまでは見抜けなかったのかしら?)
心のなかで思っていると、
「よつ葉ちゃん?! あ・と・か・ら・ね!」
「ふえっ」
怖い怖い怖い怖い怖い。
この人の前では、余計なことを考えるのは絶対にやめようと決意したよつ葉だった。
ひな月さんは立ち上がり──
「ふん! 私だけ傷も治ったことだし…………さぁ、反撃という名の……罰を執行しようか」
仁王立ちになり、相手の男に不気味な笑みをひとつ投げ掛け罰を与え始めた。