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雨の音とクローバー  作者: ひな月よつ葉
序章 2人の夜明け 編
5/17

第5話 路地裏の神、どちらに陽を射す

written:ひな月雨音

挿絵(By みてみん)




 よつ葉が女性の傷の手当てをしていた頃──



「そこまでよ! 人様の物を盗んで、私達と同じように陽の光を浴びて、のうのうと生きているなんて……許せないわ」



 このアーケード街は、ひな月の生活圏内の為、小さな路地裏のひとつまで頭に入っている。



「うるせえ! 邪魔するな!」



 追い詰められた男はバッグを叩き捨てると、刃物を手にしながら、鋭い眼光をひな月に刺した。



「はぁ……バッグを捨てるなら最初から盗むなっての。まあ丁度いいわ。今日は“まだ”だし……」


「ごちゃごちゃと口うるせえ女だ! 丁度いいのはこっちも同じこと。こんな路地裏じゃあ、誰も来ないだろうからな」



 最短距離でひな月へ向かってくる男。



「……あと半日、何事もなく過ごせますように」



 ひらりと身をかわし、近くの壁を蹴ると、蹴り上げた足を刃物を持っている方の肩へと振り下ろした。


 男は攻撃をかわされたことで気が動転したのか、形振なりふり構わず刃物を振り回す。


 空中で体勢を崩し、地面に落ちるひな月と、刃物を弾かれ肩を押さえる男──



っ……やばっ」



 ひな月の左足首はパックリと裂け、自力で立ち上がることは困難を極めた。


 男の方はというと、鎖骨を砕かれたようで、唸り声を上げながら、より鋭い眼光をひな月へ向けている。



「……もう“あれ”を使うしかないか」



 そのときだった──


 何かを覚悟したひな月の耳に飛び込んできたのは、傷の処置を終えて、ひな月の後を追って来たよつ葉の声だった。



「ひ……ひな月さん! えっ! ひどい怪我!」


「よつ葉ちゃん?! (これじゃあ使えないわね。どうする……私)」

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