第2話 見えない未来に、引き寄せられて
written:菜須よつ葉
看護学生の間でちょっとした噂になっている場所がある。
はじめは、そんなこと全く興味が無かった。
自分の意思なのか、そうじゃないのかわからないが、でも不意に足がその場所まで向かって歩いていた。何かに誘われるかのように……。
「ここかなぁ」
小さな声だったが、意外と響いてしまった。
最後のひとりが中に入って行ったのを見かけ、ついつい並んでしまう。
暫く帰ろうか、並んでいようか葛藤があった。そんなとき、扉が開いて……。
「それでは、帰り道お気をつけて。私の言の葉が当たったら、またいらして下さいね」
と声がして、私の順番が回ってきてしまった。
「お待たせしました。さぁ、中へどうぞ」
と声をかけながら、入り口に[午前の部終了しました]とのフダを表に出した。
「さぁ、どうぞ」
ここで予言をしている女主人が声をかけた。
「いらっしゃいませ。ひな月雨音です」
「こんにちは」
「お名前から教えてもらえるかしら?」
「菜須よつ葉です」
「お悩みや相談、話したいこと話してみて」
そんな会話の後で、思いきって自分の思っていることを話してみた。
「正直に言うと、何故ここに来たのか自分でもわからなくて。学友がここの話をしていて気になったと言うのか、自然に足が向いたと言うか、誘われるようにここに居たんです」
「そうなんですか」
そんな会話をしていると、外が騒がしいと思ったら叫び声が聞こえてきた。