第3話 向ける背
written:ひな月雨音
ひな月宛の小包は、やって来た爆発物処理班によって調べられ、その結果、確かに中身は爆弾であった。
「こんな物を送り付けて来る人物に、心当たりはありますか?」
「……いいえ」
「(ひな月さんさっき、名前を見てすぐにこれが爆発物だと理解したようだった。きっと知っているんだ……鈴木智一という人を……)」
小包に貼られていたはずの宛名書きは、いつの間にか剥がされており、その行方を知る者はいなかった。
ただ一人を除いては……。
「とにかく、素早い避難誘導をして頂いたようで、何より誰も怪我をすることがなくて、本当に良かったです。それでは……」
全ての緊急車両が帰り、先程まで規制線の内側にあった、MOON&LEAF前──
「ひな月さん? さっきどうして嘘を……」
「……ごめん。よつ葉ちゃん。少し出掛けて来る。もし明日の朝になっても、私が戻らなければ、その時は……ここへ電話してちょうだい。じゃあ……行ってきます」
「もう! まるで最後の挨拶みたいじゃないですか!」
少し冗談染みた感じで言い、ひな月の様子を窺うよつ葉。
「……ちゃんと帰って来るって、約束してください」
よつ葉のその一言に、ひな月は不敵な笑みを浮かべながらこう言った。
「私を誰だと思っているのかしら? 予言屋 ひな月雨音よ?」
そう言い放つと、よつ葉に背を向け歩き出すひな月──
「(その予言屋が……あんな恐怖を抱いた表情をしたから、心配なんじゃないですか……)」
言葉と気持ちを飲み込み、よつ葉はその背が見えなくなるまで、“今”を目に焼き付けた──
「絶対に、おかえりって言わせてくださいね……」




