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第1話 予言屋 ひな月雨音
written:ひな月雨音
緑の葉と木漏れ陽を揺らしながら、今日も涼しい風が吹き抜けていく──
毎年旧暦の七夕には、駅前のアーケード街が吹き流しで埋め尽くされ、訪れた人々の心を奪うこの街。
そんな街でひっそりと“予言屋”という、占い師じみたことをしているのは……。
「それでは、お気をつけてお帰りください。私の言の葉が当たりましたら、またいらして下さいね」
最後にニコッと微笑むと、お客様の背に向かって、深々と頭を下げる女主人。
名前は“ひな月雨音”──
少しだけ先の世界を見ることが出来る為、その能力を使い、お客様に助言をすることを生業にしていた。
次の方で、開店から続いていた列も終わるので、近所に出来たパスタ屋さんでお昼にしよう。
そう思っていたところだった──