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理想伝心のウィーケスター  作者: ぜてぃー
4/4

最弱と闇と光

あえて(幅広い投稿ペースだと)言ったハズだ!

投稿が少し遅くなった気がするので。すみません

「それで?結局、見せたい物ってのは何なんだよ?」

「正直なところ、時間がありません。なので、手短に説明します」

 そう、校舎を歩きながら、リエルが言う。

「まず、これから皆さんにはアストさんと僕の共同で作った、とあるものを受け取ってもらいます」

「あら、それは楽しみね?」

「わあっ!?……って、()()()()()()()()~。」

 急な後ろからの声に、チュルネが驚く。しかし、声の主を確認すると、すぐにホッとした。

「今までどこにいたのじゃ?思えば先程から姿を見かけんかったのう」

「うふふ。少しお手洗いに、ね」

 そう話しているうちに。

「ここです」

 そうして着いたのは、一階の西廊下の突き当たり。つまり――

「――……ただの壁じゃねえか」

「違いますよ……コード・VAL(ヴァル)

 そうリエルが言ったとき、目の前の壁に幾何学的な紋様が浮かび上がり、壁が消える。代わりに現れたのは、一階のさらに下へと続く、階段であった。

「こんな物があったんだね」

「壁。特殊。術式。幻影?(そこの壁は、特殊な術式で編まれた幻影だったの?)」

「少し違いますが……大体、そんなところです」

「それで、この下には何があるのじゃ?」

「…………」

 リエルは何も言わず、ただ進み続ける。

 特に話すこともなく、進み続けて。

 ――何処かに出る。

 そこは、暗い場所に薄い青色の光が点々と光る場所だった。

「……おい、何も見えねえぞ?」

「……コード・VIE(ヴィー)

 そうリエルが呟く。

 その次の瞬間、暗かった空間に、眩しい程の光が照らされる。

 そうして見えた空間には――

「何、これ……武器?」

 レーネはそう漏らす。

 そこは、広い部屋だった。その部屋の壁には、20個程の武器が置かれている。

 大剣、短剣、刀、槍、銃、大砲や、中にはどの様な武器なのか分からないものまで、様々。

「まずは、皆さんに合わせた武器を受け取ってもらいます。恐らく、不備はまだありますし、改良の余地も探せば幾らでもあります。しかし、時間がありませんので、今は急拵えのこれで準備してもらいます。ではまず……レーネさん」

「ええ。私のは?」

 部屋を歩き、ひとつの武器の前で止まる。

 ガキン、とその武器を壁から外す。

「この大剣ですよ」

 そう言われ渡されたのは、特殊な形をした大剣。通常の持ち手に加え、刀身の根本に丸い穴が空いており、そこにも持ち手らしきものが見える。

「これは……」

「レーネさん専用の武器です。ここにある武器は全て、皆さんに合わせて作ってあります。アストさんが思う性格の面、僕の調べによる能力(アビリティ)の面と、戦闘の際のスタイルに合わせて作りました。皆さんにはこれを受け取ってもらい、明日までにモノにできるようにしてもらいます。できなければ、まあアメリカとドイツの軍勢に倒れるだけですが」

「……わかったよ、やってやる」

「まあ、できるでしょ。普段から戦闘訓練だってやってるし」

 ウルファとチュルネの言葉に、全員が頷く。


 夜空。月が照らす丘。

 そこに、二人はいた。

「アスト君……そろそろ戻ったほうが……」

「んー、それもそうだな。すっかり暗くなっちまったし」

 そうして、街に戻ろうとしたところで、アストが足を止める。

「あ」

「アスト君……?」

「忘れるところだった……どうせだし、アリスも一緒に来てくれるか?」

「え……?」


 丘から、少し歩いた場所。

 そこには、ポツリと佇む、墓があった。

「これって……」

「ああ。フィアの墓だよ」

 墓石の下には、黄色の花が置かれている。

「これ……」

「もう、誰か来てたのか。……後から知ったけど、フィアは『マリーゴールド』ってゆう花が好きだって知ってさ。たまに持ってきたりするんだ。……変だよな。まだ子供だったのに、好きな花があるって」

「ううん……好きな花があるのは……変じゃないし……いいと思うよ」

「……ありがとな」




 夜中。

 アメリカ軍、浮遊戦艦軍団。

 総勢500隻。内駆逐200隻、軽巡100隻、重巡100隻、戦艦50隻、空母50隻。無人艦載機総計1000機。

 兵士総数10000人。

 全艦、敵ヴィレッジェナード学院、巨大起動兵器に向けて行軍中――

「あーあ、前の戦争の最重要人物の息子だからってよ、流石に1万はやりすぎだろ」

「上の命令だ、従わないわけにもいかねえ。それに、芽は早いうちに潰しておくべきなんだろ」

「はあー。明日はデートの約束があったってのに、それもキャンセルだぜ、ったくよ」

「あんまり変なこと言ってんじゃねえよ。独房に入れられたくないなら、ヘタに口を開かない方がいいぜ」

「にしたって、もう少し遠慮したっていいだろうがよ。お前だって、明日は何かあったろ?」

「いいから黙って見てろ」

「……そんなドラゴンがいる訳じゃねえんだし、こんな空のど真ん中で警戒しなくたっていいじゃねえか」

 最前列艦で警戒中の兵士二人が、そう会話している。

 寒い中、する必要もないハズの警戒をしているのだ。

「はあ、さみーなあ。もうすっぽかしちまおうぜ」

「バカ野郎、そんなことしたら刑罰くらうぞ……ん?」

「どうした?本当にドラゴンでも来たか、ハハハ」

「いや……誰かいるな」

「はあ?マジかよどこだ?」

「ほら、ちょうど航路の真ん中に……」

「お、ホントだ。見た限りじゃ、翼がついてるな」

「ひとまず報告だ。警告するぞ」

「おう」


「警告する。我々は現在、世界に反逆せしヴィレッジェナード学院に進行している最中である。そこを避けろ。さもなくばこのまま行進し、引き殺す。繰り返す。我々は現在、ヴィレッジェナード学院に……」

 夜空に響く、拡声器を使った声。

 それを発する船の、メインブリッジ。

「ライト、照射します」

 航路の中心にいる人物が照らされる。

「あれは……獣人族、それも悪魔種か」

「艦長、どうしますか?」

「……構わん。いくら悪魔種と言えど、浮遊戦艦を止めることはできまい。進め」

「分かりました」


 ゴゴゴ、と船が進行を再開する。

 青年は1人、呟く。

「彼らを殺させはしない。彼らは『希望』だからね。本来であれば僕たちが干渉することはないけど、今の彼らは未熟だ。だから君たちには、彼らが成長するまで――少し黙っていてもらうよ。それに、フィネアちゃんが心配だからね。ちゃんとできてるかな?これ、一応こっそりやらないとダメなんだけど」

 青年は、ただ佇むだけだった。

 そう――これからこの大艦隊に起こる出来事の最中でさえ、彼は指ひとつ動かすことは無かった。


 同時刻、ドイツ軍。

 彼らもまた同じように、空中に佇む人影を見ていた。

「ありゃ天使族か。艦長、どうします?」

「構わん。引き殺してでも進め。姫様が奴らの首を御所望だからな」

 ゴゴゴと進む、ドイツ軍の浮遊戦艦軍団。

 そして、空に浮かぶ『少女』が、天に向かって指を立てる。

「なんだ?」

「艦長、アイツ何か喋ってますけど。音声、拾いますか?」

「構うな。進め」

「了解です」


「え、ええ~!?全然止まる気配が無いよ!?せっかく考えた『カッコよさそうなキメゼリフ・第753号』を用意したのに!」

 少女は1人、困惑する。

 ただひたすら陽気に。

 巨大な船が眼前に迫ろうとも、その雰囲気は変わらない。

 いや、変わったと言えば変わった。そう、キメたハズのセリフがキマってなかった事に、少しばかり怒っている、というだけの。

「三日三晩、寝ずに考えたキメゼリフを……ええい、ならば!喰らうがいい――サアアアアアンシャイン!エクスプロオオオオオオオオジョオオオオオオオオン!」

 変なポーズをキメながら、少女は叫ぶ。

 ――次の瞬間、光が全てを包み込んだ。




 翌日。

 ヴィレッジェナード学院、屋上。

 そこには、アストのクラスの人物が集められていた。

「よう」

「よう、じゃねーぞアスト。テメェ昨日どこいってやがった」

「悪かったって、な?1円やるから」

「いらねーよ、ったく……」

 そんないつも通りの、アストとウルファの会話。

 だが、それを切る発言がされた。

「そろそろ、話を進めていいですか?」

 そう、朝からリエルに、大事な話があると言われ、こうして集められたのだ。

「なんじゃ。具体的な軍の到着時刻がわかったのかの?」

「いえ……今朝、僕も驚きましたが……アメリカ軍が何者かによって壊滅的打撃を受けたそうです。それでいて、負傷者・死者は0名。何があったのかは分かりませんが……撤退を余儀なくされた、とのことです」

「ええっ!?それって、どうゆうこと!?」

 そう言われ、チュルネが驚きの声をあげる。

「壊滅的打撃を受けながら、死者どころか負傷者もでなかった……変な話ね。被害状況の詳細はある?」

「レーネさんが気にするのも分かりますが……詳しい事は分かりません。途中で電波障害がおきて、見ることができませんでしたから」

「……リエル。ドイツ軍はどうなったのだ?アメリカが被害にあったのであれば、ドイツも被害に合う確率は高い。同じ目的を持っているのだから」

 ニサムが問いかける。その回答は、漠然としたものだった。

「ドイツ軍は……分かりません」

「分からない……?」

「ええ。忽然と姿を消したんです。人工衛星をハッキングして記録映像を閲覧しましたが、艦隊がいた場所が一瞬光ったかと思えば、光が収まった時にはもう……アメリカについては、大艦隊がいたであろう場所が非常に――いえ、闇に呑まれたとでも言えるほどに、暗かったんです」

「ますます不思議だな」

「ええ。不自然とも言えるほどに」


 ところ変わって、アメリカのとある王室。

「王よ、申し訳ございません!このような失態を……!」

 そう頭を垂れるのは、昨夜の最前列にいた船の艦長。

 その先には、アメリカの国王がいる。

「よい、顔を上げろ。こうなったのは、我の責任でもある」

「はっ」

「それで、何があったのだ?」

 改めて事態の詳細を聞き出そうとする。

 そして、ゆっくりと話始めた。

「……昨夜の事です。我々が進行するなか、ヤツは航路の真ん中に堂々と佇んでいました。再三に渡る警告を流し、尚も退かぬようでした……ので、強引に進行を続けようとした。……その時です。不可解な事態が起こったのは」


 進行を再開し、謎の悪魔種を引き殺そうとした時。

 突如、艦内にアラームが鳴り響き、赤く照らされる。

「何があった!?」

「エラーです!……航行関係以外のシステムが全てエラー反応を起こしています!これでは砲撃も何も……!」

「なにぃ……!?」

「艦長、緊急連絡です!艦に搭載されている武器が、全て消えています!剣も銃も、武器が忽然と……!」

「くっ……どうなっている?まさかヤツか!」

 そう言って、船の前に佇む青年を睨む。

「空母から無人機が発進しました!悪魔種に突撃していきます!」

「なっ……バカ者!敵が一体何者かも分からんというのに……!」

「減速無し、現状況を考えれば武装は全解除状態……特攻を仕掛ける気です!」

「……!ええい、空母に通信はとれんのか!」

「通信機器も全てエラーを起こしていて、使用が不可能です!」

「くっ……!」

 ただ見ることしかできない。

 その結果を。

 そうして、さらに混乱に陥る。

 特攻を仕掛けた無人機――それが悪魔種に触れる瞬間。

 ()()()()()()

 そう表現する他に無かった。

「…………バカな……」

「な……何がどうなって……」

その時、艦長と呼ばれていた人間は直感的に理解する。

「……信号弾は撃てるか」

「え、ええ。それならばなんとか……」

「撤退だ。これ以上の進行は不可能。全軍に撤退信号を出せ……!」

「し……しかし、旗艦と通信もできないのでは……」

「さっさとしろ!受け入れられぬようなら、我が艦だけでも撤退する!これ以上は……命に関わるぞ!」

 そう――死を理解した。

「は……はい!」

 あの『闇』は、自分が知る『闇』ではない。

 ただ暗く、黒く、光無き、虚無と絶望を表す空間……そのような『生易しいモノ』ではない。

 あれは闇の名と姿を被った、『死』という概念そのものであると。

 理解し、逃げた。

 恥も外聞もなく、ただ必死に。

 どうか、あの『闇』が――『死』が、追ってきませんようにと。




 獣人族の惑星の、とある丘。

 二人の人物の内の1人、ローブを着た男が遠くを見つめる。

 メガネを着けており、顔は20代前半程度。ローブの隙間からは、派手な装飾が施された、黒い軍服が見える。

「ゼレオ様……」

「心配してるんですか?」

 それを気にする、もう1人の女性。

 同じくメガネを着けているが、ローブは被っていない。黒い軍服には装飾はほとんど無く、どこか落ち着いた雰囲気。

「ええ。やり過ぎないか、といった事ではありますが」

「――ハッ、むしろ俺としちゃあ、やり過ぎぐらいがちょうど良いんだがな」

 女性の口調が変わる。

 それを気にした様子も無く、男は続ける。

「それだと、こちらの仕事が増えるんですよ。正直に言って、面倒くさいですしね」

「テメエも言うようになったな――あの、天使の子のおかげですかね?」

「わかりませんが……フィネア様は天使ではなく――」

「あ、いえ!フィネア様の方じゃなくって――ったく、テメエは相変わらず鈍いな、べリア」

「鈍いと言われましても……何が何だか、分かりませんよ」

「……こりゃモテねえ訳だ。俺はコッチの専門じゃねえし、お前に任せるわ――ってええ!?ちょっ、待って……って、もう寝息が……うう」

「いつ見ても、大変そうですね。『完全分離型』の多重人格でしたか」

 そう、彼女は普通の人間とは脳の構造が決定的に違う。

 通常、解離性同一性障害とされるものは、完全に人格が入れ替わり、その裏にいる人格は眠っている状態……だが、この女性はその人格と会話する事が可能であり、天性の物である。

 記憶や思考、感覚や神経すら別々に感じていると言っても過言ではなく、俗に言う『2人で1人』を地で行く。

 しかし、2人分の感覚があれど身体は1つ。過去に一度、脳を過剰に酷使したせいで、長期に渡って意識不明となった。

「うう……本当ですよ~。変な所で強引に出てきたり、何か頼もうと思ったら寝てるし、目が覚めたらドッキリとか仕掛けてくるし……」

「ですが、楽しそうですね」

「なんやかんやで、生まれてからずっと一緒ですから」

 そう、少し笑って。

「……でも、本当にやり過ぎないか心配ですね。ゼレオ様よりも、フィネア様の方が、ですけど」

「ええ……ゼレオ様は、こういった時はしっかりしてます。が……問題はやはり、レラージニの言う通り、フィネア様でしょうね」

「フィネア様、力の制御とかしませんからね~」

「まあ、そうなったらそうなったで、ゼレオ様からの説教がとんでいくだけです」

「あ、あはは……」

 男――べリアは、空へ向き直る。

 遥か遠くの星、見えずとも視線の先に存在する――地球を見つめて。

まーた謎を増やすだけ増やして終わるんですよ。

ところでお気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、1話約1万文字で作っております。

切れの良い数字ならば、作りやすいんじゃないかな、と。

まあ、結局その文字まで持っていくのが大変なんですが。今更止めないですよ。時間ない人申し訳ございません焼き土下座でも何でもしますから。

では、また。

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