死に損ないのピエロ
瞼が重い
目が開かない
けど……
どこかであたしを呼ぶ声がする……
あたしは現実から逃げた……
呼ばないで……
1人にしておいて……
ほっておいて……
思っていても、呼ぶ声がでかくなる
あたしを呼んで……
助けてよ……
1人にしないで……
心の声が
ポロッ……ポロッ……と溢れた時
目が覚める
あたしを呼んでいたのは、君か……
右手に巻かれた包帯を愛おしそうに
ゆっくり……ゆっくり……
撫でる君の手が止まり
そして……
ただいま……とあたしが言う
おかえり……と君が言う
あぁ……また死にそこねた……
今日からまた……
君を騙すピエロだ……