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See you again  作者: 田村ケンタッキー
透視能力者 里見透の悩み

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愛と憎しみは紙一重?

 夕暮れ時、透は学校の校門前に戻っていた。ビラ配りをしているであろうマルコが気になり迎えに行くためだった。しかしその姿はなく、校門はワニのようにぽっかりと開いているだけだった。部活の生徒も教師も見当たらない。早退した身でわからないが、今朝の交通事故の一件で暗くなる前に帰るよう一斉下校したのだろうか。

 中に入ろうとしたが、

「あら、里見透さん。忘れ物かしら?」

 またも突如、物部万理が現れた。今日もダサい車に乗っていて、車の中から呼ばれた。

「あ、はいちょっと、マルコを忘れてしまいましてね」

 ノロケ話を始められる前に退散したかったがふと気になった点があり、つい訊ねてみる。

「あれ、先生。眼鏡どうされたんですか」

 よく見るとフレームがどこか歪んでいる。

「あぁ、これ……ちょっと落としちゃって」

 ちょっとどころでもない気がする。叩きつけた後のような壊れ方だった。

「派手に転んだんですね」

「まあ、そんなところよ」

 物部は車から降り、校門を閉めてしまった。

「すみません、まだマルコが中にいないか確認させてもらえませんか」

「マルコさんならもう帰りましたよ。学校が終わったらすぐ校門を出て行くところを見ました」

「え、本当ですか。しまったな、早く帰らないと。遅くてぷんすか怒っている頃かもしれない」

「そうね、早く帰りなさい。馬詰さんみたいになりたくないでしょう」

「はーい、わかりましたー」

 口論は無駄だと判断し、透は校門から立ち去る。物部は透の姿が見えなくなるのを確認した後、車に乗り直し走り去っていった。そして透もまた物部が見えなくなったの確認すると校門に戻った。身を案じて早く帰るよう嘘を吐いたのかもしれないがマルコが真っ直ぐ帰るとは思えず、やはり一度学校の中を探したかった。馬詰が登校していないので透抜きでも羽根を伸ばして捜索するに違いないので探さないといけない、というのは建前で夜の学校を探検をしてみたいのが本音だった。

 校門をよじ登り、飛び降りる。着地で足首を捻るも歩く分には問題ない。

 校舎のどの部屋にも明かりはなく、もぬけの殻のようだったがかえって好都合と言えた。

 校舎のどこかに侵入口かないか探してみると一階に鍵の閉まっていない窓があり、そこから靴を脱いでからお邪魔し徘徊を始める。職員室等はさすがにセキュリティでしっかりと守られており周れそうなのは生徒教室のみだった。誰もいない自分の教室に着き、何となくいつも物部がしているように登壇すると目線が高くなり視界がひらける。空間を独占、支配してる気分になる。目の前のマルコの席には何故か大量のジュースが置いてあるのが少し気になった。差し入れは全て持ち帰るほど真面目なマルコが果たして机の上に置いて行くだろうか。少し怪しく思ったがマルコが帰った後に誰か悪戯で置いて行ったと結論づけた。

 その後理性が若干外れ、普段は決して覗かない机の中も透視してみる。ほとんどが整理整頓されている中、一つだけゴミ箱のように荒れている席があった。透ではなく、馬詰の席だった。近付いてよく見てみると平均点以下のテスト用紙がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。マルコが自分の部屋を見た時の気持ちがわかり、かなり恥ずかしくなった。

「仕方ない、私が片付けてやるか」

 そう呟きながら生ごみがないか警戒しながら、慎重に机の中を掻き出していくと一冊の新品のノートが出てきた。表紙にでかでかとマル秘と太文字で書かれていた。

「……あいつは馬鹿か」

 馬鹿も度が過ぎると逆に可愛らしくなってくる。

「さてさて、どんなことが書いてあるのかな」

 透視せずノートを開く。一行毎に里見透という文字がびっしりと詰まっていた。

「……」

 光の速さでノートを閉じた。

「なんてこった……あいつはストーカーだったのか」

 事実はいつも残酷だ。しかし目を背いていては前に進めない。勇気を出して続きを読む。

 内容は愛憎日記ではなく、観察日記だった。日記は今年の春から始まっていた。

 馬詰はトイレの半壊事件より前から透の能力を突き止めようと実験を繰り返していたようだった。それはどれも超能力の知識に疎い一般人なりに幼稚ながらも敵ながらも感心する内容だった。その中で特定される危険性があったのは靴箱の中に大量の虫を詰め込むという実験体を透視能力者だと仮定した実験だった。もし躊躇って開けられなかったら透視能力者と特定するものだった。これは悪戯されていないか開ける前に透視する習慣を持ち且つ虫が大の苦手の透にうってつけの実験だった。しかし日記によると偶然通りかかった物部に見つかり失敗に終わっているようだった。他にもクロロホルムで眠らせた後に誘拐するなどあったが気付かない裏で手際の悪い本人の自爆や物部の間の悪さに透のピンチを救われていた。

 もしかしたら今朝の脅迫文は馬詰の実験の一環だったのかもしれない。問い詰める前に気を失ってしまったが靴箱に小細工する点が共通している。

「なるほど……」

 ノートを閉じ、元の位置の机の中に戻す。

 一呼吸した後、馬詰の机を全力で蹴り倒す。

「気色悪いんじゃあああああああああ」

 机を起こさず、そのまま教室を後にした。

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