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See you again  作者: 田村ケンタッキー
透視能力者 里見透の悩み

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眠れない理由

 片付けが終わる頃には日を跨いでいた。

「マルコ先生、本日はありがとうございました。つまらないものですがお納めください」

 本日三度目の土下座。そして枕を添える。枕は一つしかないので透は折った座布団を枕にする。透は敷き布団、マルコはベッドにいた。いつも透はベッドに寝るが、マルコに気を使い、彼の慣れているベッドを貸した。違う目的で来日したが一応ホームステイ中なので日本の布団で寝かせてあげるべきだ。それはおいおい体験させていく予定だった。

 透は心地よく布団に寝転がっていた。布団の中はいつもより気持ち良かった。そう感じるのは疲れているからであろう。学校を走りまわったのもそうであるように、また話し疲れて舌辺りがぴりぴりしていた。舌や頬を含めて全身が筋肉痛になっていそうだ。


 もう一方マルコは眠るにも眠れなかった。初めて来る場所で何もかも初めての体験の後で馴染のあるはずのベッドの上でも落ち着かなかった。枕もスプリングも悪くない。だけど自分のものでも姉のものでもない透の香りがした。

 落ち着かない理由を客観的に考える。不安で眠れないのだろうか。姉に会えない不安があるのだろうか。物体だけでなく、思考の透視もできる突然変異な協力者が側にいて心強いのに。眠れないのは協力者が信用できないからだろうか。それも違うような気がした。

 起き上がり、ベッドの下に横たわるその協力者を見下ろす。思わず息を呑む美少女だった。振る舞いや言動は少々乱暴でがさつな点があるが、静かに寝息を立てていると白雪姫のように見える。高原に咲く一輪の花のような女性だった。高嶺の花と思いがちだが実力のある超能力者なのにそれを鼻にかけなかったり初対面の自分に親身になってくれたり親近感が湧く人柄だ。

 きっとカレン・リードと同じようにクラスの人気者に違いないと、最初に会った時に彼女の美貌に見惚れながらそう思っていたが現実は全然違った。彼女に友達らしい友達はいない。会話らしい会話をしたのは担任教師のみ。それ以外、行動するときは常に一人だった。周りから隔絶されている様子はない、むしろ透が自分を透明人間であるかのように振舞っている節がある。そうしているのはきっと超能力のせいだろう。その超能力者であることは公言しているがその能力は隠していた。

 掃除ができないことと一緒で、能力をひた隠しにする行動がマルコには理解ができなかった。自分は身を隠すため超能力者であることを公言できないが彼女は違う。堂々と超能力を名乗って活躍できるというのにそれをせずにこそこそしている。

 いくら考えても埒が明かないので諦めてベッドに沈む。シーツに顔を埋める。ふわっとベッドの主の香りがした。眠くて寝たいのに昼寝しすぎた日のように目が覚めてしまう。眠れない夜は初めてではない。姉が姿を消した直後の夜はいつも眠れなかった。姉を思い出してしまい、眠れなかった二年前。

 そう、あれは二年前。長期休暇で姉と二人で海外に行く予定だった初日のことだ。行き先は母親の生まれ故郷である日本だった。


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