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平和の崩壊
「シャミール、君のいう通りだ」
校長が重々しく口を開けた。ここにきて、皆が事態の重大性を感じ取った。
ここにいる皆は、進駐軍についての話を聞いたことはあった。しかし、自分には関係のない何処か遠くの他人事だと思っていた。だからこそ理解するのに時間が掛かった。理解の後に押し寄せてくるのは恐怖だった。他人事のように感じられていたからこそ、どこか楽観的でいられたのだ。進駐軍の話を聞いても、怒りこそ覚え、恐怖は覚えなかった。しかし、その幻想は打ち破られてしまった。人から聞いていた小説のようなことが、今現在自分に起こりうることを知ってしまたのだから。
恐怖に震える空気を変えたのは、シャミールだった。
シャミール「校長先生、あなたの考えをお聞かせください。我々を集めたからには何か理由があるのでしょう。
まぁ、大体の見当はつきますが。」