魔王、誕生
大講堂~
今全校生徒が大講堂に集められていた。少し苛立ちも見えるが話に花を咲かせる生徒で騒がしい。故郷の親からの仕送りがどうだの、戦時下での大学受験の有無がどうだの、挙句には今晩の寮の夕食のオカズがどうだのととにかく騒がしい。だが、各自で話をしていた者達は一斉におし黙った。深刻な面立ちをした生徒会長が、突然ステージ壇上に現れるや否や沈黙し続けているからだ。そして辺りが静寂に包まれたのを確認すると、彼は静かに語り始めた。
シャミール「諸君はすでに知っていることだろう。進駐軍が日に日に勢力を広げていることを。進駐軍が松本駐屯地で弐本人捕虜を虐殺したことを。これで分かるだろう?進駐軍に征服された者達の末路が。だが、このことは他人事などではない。つい先日、我が学園にも一通の手紙が届いた。勧告書だ、進駐軍からの。」
皆が固唾を呑みこむ音がした。
シャミール「勧告書は我々に早急な当施設からの退去を求めている。校長先生は悩んだ。従うか従わないか。従えば一時の平和は訪れよう。だが校長は戦いを選んだ。黙って死を受け入れるより戦うことで皆の安全を守れると、そう思ったからである。そして我々生徒会もそれに賛同し、こうして皆の前に立っている。だが忘れないでほしい。我々生徒会は君たちに嘘をつかないということを。協力してほしい。校長先生の賢い決断に。しかし、我々や教師だけではできないこともある。だからこそ、皆に協力して欲しい。思い出そう、我々学園はいつも力を合わせ全国に名を轟かせてきた。教師も生徒も一丸となればやれないものなどない。やれるものしか存在しない。今、我々がいるこの足下にはシェルターと新型戦略決戦兵器なるものが存在している。つまり我々には勝利への条件が揃っているということだ。時は満ちた。今こそ、我々弐本人の力を合わせ、仲夏人から独立と平和を勝ち取ろう。
Defeat the China,save our japan
Defeat the China,save our japan 。」
そう彼は繰り返すと、その場にいる人々は一斉に彼に続き連呼した。
その場の空気はたった一人の人間によって支配されたのだった。
魔王誕生の瞬間である。




