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夏の雪の話を持ち出してブチ切れること

私のいつもの悪いクセ。そのすべての最大級が奇跡の交錯。


受け売りの言葉を炸裂しながら、職場の女を敵に回し、気になる男子への無鉄砲な好意の発露まで同時に行うという離れ業を同時にやってのけてしまった。


私はどうして、いつもこうなんだろう。


「この世界にはさ、生まれつき目が見えない人とか手が使えない人とか、他にも見た目では分からないけどいろんな人がいろんなハンデと孤独を抱えてんの。だからって優しくしてくれなんて言ってるんじゃなくて、普通にしてくれればいいんだよ!」


いつもは物静かと言われる私の爆発に、同僚の司書たちは怒りも恐怖も通り越して、ただ唖然としていた。


いや、唖然も通り越して少しスーンとなっていた。


「あなたたちの言葉は丸山君に届いてない。でも、私はあんたらの言葉でとても不快になって、悲しくなった、傷ついた。こんなに素敵な人を、嘲笑う言葉に」


荒くなる息を整えて、さっきよりもっと大きな声で叫んだ。


「誰にだって人を傷つける権利なんてないんだよ!」


それだけ言ったあと、この場の雰囲気にいたたまれなくなることもなんとなくわかっていて、私は駆け出した。


控室で急に冷静になって先のことを考え出して、憂鬱になっていると主任と山岸君がやってきた。


「いやー、やっちゃったね。取り敢えず市役所の人が来ると思うから、綾瀬さん、謝ってね」


我関せずがモットーの主任がいつものように他人事のように呟いた後、ニキビ面で「永遠のサッカー少年」と自称する少しお腹の出た山岸君が、TPOの一文字も感じさせないのんきな声を出した。


「いやー、びっくりしました。綾瀬さんも見ていたんですね。『Summer Snow』!」


そう、私は2000年に放映された堂本剛主演のドラマ『Summer Snow』の第一話で主人公が話した名セリフをほぼほぼ完コピしたのだ。


でも、その言葉は丸山君の耳には届いていないかもしれない。それすら私には分からない。


これから私の王子になってくれることになる人は、音が聴こえたり聴こえなかったりする。

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