自己紹介
『Exit-エグジ-』
指定された場所は二丁目の所謂ゲイバーだった。
一応メイクして大人っぽい服を着て行ったが、せいぜい高校生位にしか見えないだろう。
「すみません、待ち合わせしていて…」
店員に何だかじろじろ見られていた。
まあ、明らかに未成年、しかも女だ。
どう見ても異分子でしかない。
「麻里奈ちゃん、こっち。来てくれてありがとう」
田所は来ていた。
「まあ、僕、保護者って事で。オレンジジュースお願い」
店員に注文していた。
「私、全てが浮いてますが…」
「まあ、僕もゲイではないから。お互い様だね。」
「はあ…」
なら何でこんな場所で…
「まさかこんな場所に麻里奈ちゃんが来るとは誰も思わないでしょ。一応君、雑誌とかにも出てるらしいし。逆にカフェとかより目立たず話しやすいよ。」
「成る程…」
「どう言う経緯で八神先生の玩具になったのかな?」
やっぱり玩具って認識されてるんだな。
そう思って、小学生の時の事件の事やキッズモデルをしている事を話した。
「成る程ね。じゃあ、一応僕の自己紹介をしておくね。」
「はい。」
「僕は田所正直。正直って書いてショウジね。」
「はあ…」
「因みに父も医師で田所正義。正義って書いてマサヨシ。」
「何か警察みたいな名前の家族ですね…」
「ははは、よく揶揄われたよ。」
「でしょうね。」
「家は開業医でね。父が院長、僕は家の病院を手伝いながら勉強にあの病院に非常勤で通ってるんだよ。」
「そうでしたか。」
「それでね、ウチも僕も精神科なんだよ。」
「八神先生と同じですか。」
「そう。だから八神先生の事もまあまあ知ってるって訳。」
「成る程」
「八神先生の事憎い?」
「憎い…と言う感じとも違うのかも…ただただキモい…」
「そう。消えてほしい?」
「そりゃ…まあ…」
「じゃあ、麻里奈ちゃんにとって1番の足枷は何だろう?」
「多分…ママ…」
「成る程ね。」
「僕にとっての足枷は父だからね。麻里奈ちゃんと僕は似てるのかな。」
「そうなんですか?」
「そう。僕も子供の頃から身の丈に合わない過度の期待という虐待をされて来たからね。」
「そうですか…確かに…同じかも…」
「僕なら麻里奈ちゃんの力になれると思うよ。」
「それって…八神先生と同じ様な事言ってますよ…私とセックスでもしたいんですか?」
「ははは。前にも言ったけど、僕は君には欲情しないよ。」
「そうですか。」
「どんな相手に欲情するか教えてあげようか?」
「まあ…はい…」
「丁度良かった。今日この後、麻里奈ちゃんに見せてあげるよ。」
「?」
○○○○○○○○○○
「麻里奈ちゃんはここに隠れていてね。」
田所に連れられて来たのは所謂シティーホテルだった。
やっぱりヤル気かよ…
と思っていたら、カーテンの裏に隠された。
ピンポーン…
誰か来た。
「はい、お父さん、突然こんな所にすみません…」
「何だ正直…何があった…」
「いえ…勤めている病院で看護師に呼び出されまして…」
「女か…あれ程気をつけろと…」
「はい…別れる前にもう一度ここで会ってくれと言われまして仕方なく…」
「で、何があった?」
「はい…少し揉めてしまいまして…思わず手を上げてしまいまして…家具に頭を打って気を失わせてしまい、今風呂場に…」
「まさか死んで無いだろうな!?」
「血が出ていたのでとりあえず洗い流そうかと…多分まだ息はしています…」
「そうか…なら私の病院でとりあえず入院させるか…」
「はい。すみません…運ぶのを手伝ってもらっていいですか?」
「仕方ないな。騒ぎになれば病院に傷がつく。本当にお前はいつも…昔から出来損ないで…妻に似たんだな。全く…」
「いつもご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
「では…ここか?」
そう言ってバスルームの扉を開けようとした父親の背後に立ち
田所は
首筋に注射を刺した
田所…ヤル気だね。




